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1970年代からのマンションストック分析

1970年代からのマンションストック分析

90~95年を軸に23区が凹型、都下・3県が凸型で推移

3つの時期における竣工数の推移

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上のグラフと図表は3つの時期における「東京23区」「都下・3県」の竣工数とその推移を示したものです。
注目されるのは90 ~ 95年で、これまでに見られなかった異変が生じています。全体の竣工数は前期(75 ~ 80年)の5,672
件(355,295戸)から7,748件(386,010戸)と増えています。
地域別にみると「東京23区」は2,188件(83,816戸)と大きく減少、変わって「都下・3県」が5,560件(302,194戸)と未曾有の伸びを見せ格差が広がりました。
東京23区におけるバブル期の土地の高騰がいかに凄まじい状況であったかをうかがえます。
05 ~ 10年に入ると状勢は逆転し、「東京23区」が増、「都下・3県」が減少しました。「東京23区」は件数ベースで3割増、戸数ベースでは2.4倍増でした。この理由については後述します。

「都下・3県」は件数で43%、戸数で32%減になりました。結果、3つの時期にまたがる推移は「東京23区」が凸、「都下・3県」が凹の形となります。「東京23区」「都下・3県」の2つの地域内にある市、区ごとの指数による対比も一覧表にまとめました。山と谷はどの地区でも同様にみられました。

建物の規模、階高、居室面積の推移

これまで3つの時期における竣工数の推移をみてきましたが、ここからは建物の規模や高さ、居室の広さについて分析することにしましょう。

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注目されるのは「東京23区」における90 ~ 95年から05 ~10年への推移で、そのポイントを列記します。
・平均戸数  38戸から70戸へ増
・6階建以上の建物の割合  59%から80%へアップ
・超高層(20階建以上)  13棟から133棟へ増
・平均面積60㎡以上の比率  45%から37%へダウン
・投資向(面積30㎡以下)の比率 24%から31%にアップ
これらの現象は、バブル期に買い占められた都内の土地が放出され、その多くの土地がマンション用地に転換された結果とみられます。加えて国と自治体が都内の土地を有効に活用するため、容積率の緩和を実施したことも大きく影響しています。
平均戸数の増は、建物が高くなり、居室が狭くなったことと関連します。その結果超高層と投資向きワンルームは増えたともいえます。その背景として単身化・小規模世帯化の傾向があることも否めません。
一般社団法人 全国建物調査診断センター 吉野笙一
※出典:マンションデータベースより

(大規模修繕工事新聞 2014-2.5 No.50)


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