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File Data. 132 東京・大田区/ハイネス久が原管理組合

16戸、築39年、2回目の大規模修繕

GNSアンカー工法で「満足な」工事に

 16戸の小規模マンション。一般のマンションよりもたいへんなのが組合資金の確保。今回実施した大規模修繕工事は築39年で3回目となる  工事前は手の届く範囲で打診棒による調査や、目視による調査を行う。今回は当初の建物調査診断では外壁タイル等の劣化数量を多く見込んだ。
 本工事での大きな課題は、建物調査時の劣化数量と実 数の差。設計者としても、1回目の工事で行ったトップコートが多くささむけていたことから、タイルの浮きな ど、劣化数量は多いのではないかと想定していたという。
 ところが、実際に足場をかけて行った全体調査では、 大目に見積もった劣化数量より1.5倍ものタイルの浮き等があることがわかった。特に西面である妻側の外壁では6~7割のタイルが浮いていたのだ。
 数量が多くてエポキシ樹脂の注入では費用がかかり、 提案したメーカーの工法では前回のトップコートとの相 性がよくないということで、さらに費用がかかることとなった。
 そこで施工者であるリノ・ハピア㈱が提案したのは、外装タイルの落下防止のためのGNSアンカー工法。
 管理組合は16戸ということもあって、コミュニティは万全。工事の打ち合わせではほとんどの住戸が参加する。住民検査もほぼ参加。このため、管理組合・設 計者・施工者の話し合いがスムーズに進んだ。
 GNSアンカー工法は、費用が他工法より廉価であり、前回のトップコート等の下地処理は無関係、その上10年 保証も得られるということで、管理組合から承認を得た。
 もちろん、アンカー工法のため、ピンの跡がつくが、ピンの頭部を焼付塗装するため、ほとんど目立たない。 また、GNSアンカー工法採用前ではあきらめていた、玄関や階段の防滑材塗布、外部ガラス清掃なども費用軽減 により事前計画を通し、実施できた。
 管理組合からは「前よりきれいになった。みんな満足している」と設計者、施工者に感謝状が送られた。

(大規模修繕工事新聞118号)

管理組合による工程検査も多くの 人が参加した

当初の調査よりも劣化数量が 多かった妻側の外壁

実際のGNSアンカーピン施工後の様子。遠くからではほとんどわ からない

タイル欠損個所の下地補修

ピンの打ち付け個所を均等にマーキング

無振動PADドリルで穿孔 (せんこう)

専用工具による座彫り(アンカーなどを設置する際に、納まるように掘り下げる加工)

GNSアンカーピンを挿入

GNSアンカー施工完了

GNSアンカー工法
外壁タイルに特殊GNSアンカーピンを打ち込み、タイルの落下を防止する工法です。外壁タイル全面に、 均等に特殊GNSアンカーピンを打ち込むことで、コン クリート躯体と外壁タイルを面として連結します。
特殊GNSアンカーピンは 頭部を焼付塗装するため、 施工個所は目立ちません。
施工は専用の無振動PADドリルシステムで行うため、 室内への振動は少なく臭気もない工法です。耐久性は 50年以上、外壁タイル全面に均等打ち込みにより10年 保証があります。

工事データ
○工事名/ハイネス久が原大規模修繕工事 
○建物概要/ 1980(昭和55)年竣工・RC造・地上4階建て・1棟・16戸 
○発注者/ハイネス久が原管理組合 
○設計・監理者/オフィ スレコン㈱一級建築士事務所 
○施工者/リノ・ハピア㈱
○主な工事内容
1.共通仮設/作業員詰所、資材・廃材置場、仮設電気設備、 仮設水道設備、各所養生等
2.直接仮設/外部足場、昇降階段、落下防止水平養生、メッ シュシート養生、仮設資材運搬、足場つなぎ等
3.外壁下地補修/下地調査、ひび割れ補修、鉄筋爆裂補修、 欠損補修、タイルひび割れ補修、タイル表面の洗浄
4.シーリング/外壁打継目地、外壁竪目地、タイル取合い目 地、サッシ廻り、鋼製建具廻り、避難ハッチ廻り等
5.内外壁塗装/一般外壁、玄関前天井・壁バルコニー手 摺壁内側、バルコニー天井等
6.鉄部等塗装/玄関扉枠、メーターボックス、設備盤、 塀フェンス、バルコニー、フェンス、外灯等
7,防水/《ウレタン塗膜防水》斜屋根、各階バルコニー、 階段側溝、《防滑材塗布》玄関前床、階段
8.その他/外部ガラス清掃(バルコニー・階段スクリー ンの外部側)
○工期/ 2019年5月~ 2019年8月

設計・監理者:オフィスレコン株式会社
一級建築士事務所
■本社  〒101−0025  東京都千代田区神田佐久間町2−7第6東ビル602
☎03−5825−9025 代表者:渡邊一之
設立:1995年(平成7年)12月
資本金:2,000万円
//www.office-recon.jp

施工者:リノ・ハピア株式会社
■本社  〒145−0062  東京都大田区北千束3−1−3
☎03−3748−4011 代表者:渡辺清彦
設立:1964年(昭和39年)5月
資本金:1億円
//reno-happia.co.jp