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弁護士によるトラブル相談シリーズ/理事会の議事を役員が勝手に広報 役員の守秘義務をどう考えるべきか

Point

① 理事は守秘義務を負っており、理事会の議事の内容もその対象に含まれている
② 理事会の議事の内容の開示は原則として守秘義務違反に該当すると考えられる

 相談内容は、大規模修繕工事の知識が理事会になく、このままでは組合員に損失が生じてしまうのではないかと考えた理事のひとりがインターネット上にブログを開設し、理事会の議事を公開。これにより理事会から守秘義務違反にあたるので即時公開をやめるよう求められた件で、ブログを開設した理事が「本当に守秘義務違反にあたるのか」と相談されました。
1)理事は守秘義務を負う
 理事の立場は、総会で組合員の負託を受けているので、理事は管理組合に対して善管注意義務を負っていると考えられます。この善管注意義務の一内容として、職務に基づき見聞きした事柄をみだりに外部へ開示してはならないという守秘義務も負っているといえます。
2) 理事会の議事は守秘義務の範囲内
 理事会は総会と異なり、組合員のうちの少数の理事が管理組合に関わるあらゆる問題を討議すべき機関です。
管理組合の問題とは、その性質上、組合員の家族構成、経済状態および健康状態などのプライバシーに関わる事柄についても扱うことが避けられません。
 このような情報を取り扱う理事会の議事は、理事の守秘義務の範囲内に含まれると解されます。
 このため、理事は原則として理事会の議事の内容について、理事会とは別個に、独自に組合員に対して開示することは許されないというべきです。
3) 例外にあたるケースは少ない
 例外的に理事による独自の「広報活動」が守秘義務違反に当たらないケースはあり得ないのでしょうか。
 例外が認められるとすると、理事会の議事の内容が法令や規約に違反するなど明白に組合員全体の利益を害する場合などに限られます。今回の相談のケースおいては、そうした利益を害するものであるとはいえません。
 したがって、今回の相談のような少数派理事の立場としては、①理事会で反対意見等の意見を述べ、それを議事録に記載するよう求めること②総会で守秘義務に違反しない程度で発言を行い、組合員の理解を得るよう努めることなど、守秘義務に反しない範囲内での対応について、知恵を絞る必要があるでしょう。

<参考引用>

『マンション管理組合のトラブル相談Q&A』
著者/中村宏弁護士・濱田卓弁護士 発行/民事法研究会

(大規模修繕工事新聞 123号)