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弁護士によるトラブル相談シリーズ/総会での重要事項の決議には 「議案の要領」示す必要あり

Point

① 管理規約改正などの一定の重要事項を決議する際は、「議題」に加えて「議案の要領」も示す必要がある。
② 「議案の要領」としては、事前に賛否の検討が可能な程度に議案の具体的な内容を明らかにする必要がある。
③ 管理規約改正の場合は、原則として、変更前の条項と変更後の条項を並記すべきである。

 通常総会において、管理規約を全面的に改定することになりました。総会招集通知に記載する議案書には、どの程度詳しく内容を記載すべきでしょうか。
 総会招集通知には会議の目的たる事項(議題)を示さなければなりません。その上で、以下の重要事項を決議する場合には、「議案の要領」を示す必要があります(区分所有法35条5項)。その内容としては、事前に賛否の検討が可能な程度に議案の具体的な内容を明らかにしておきます。
①共用部分の変更(法17条1項)
②規約の設定、変更又は廃止(法31条1項)
③大規模滅失の場合における共用部分の復旧(法61条5項)④建替え(法62条1項)
⑤団地における規約設定の特例(法68条1項)
⑥団地内の複数建物の建替えの一括承認(法69条7項)
 それでは管理規約改定の場合、具体的にどのように「議案の要領」を示せばよいでしょうか。
 変更前の規約条文と変更後の規約条文を並記した上で、変更部分に下線を引くなどをすることによって、どの条項がどのような変更されるかを一見してわかりやすく示すことが望ましいといえます。
 ただし、「変更後の規約案一式を通知すれば、議案の要領の通知として足りる」とした裁判例もあります。
 いずれにせよ、総会に出席しない組合員も書面によって議決権を行使することができるよう記載すべきでしょう。

(大規模修繕工事新聞 126号)

<参考>
『トラブル事例でわかるマンション管理の法律実務』
著者/香川希理
発行/学陽書房
A5判・216ページ
定価/ 2,700円(税別)
2019年5月24日発行
ISBN:978-4-313-51167-5