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全建センター第45回管理組合セミナー

「大規模修繕の周期は12年から18年へ」その2

~実例から学ぶその手法について~

講師:全国建物調査診断センター・佐藤成幸理事(マンション管理士)

「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」に定義されているマンションと最近のマンションの違いについて
国土交通省の『改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル』は平成16年に発表(平成22年改訂)されました。計画修繕をきちんと行うことでマンションの長寿命化を目指すための目安・ひな型として作成されたものです。
ここで計画修繕と改修の重要性の説明から「大規模修繕工事12年周期という概念」がひとり歩きしたと言えます。
とはいえ、初めての発表から15年が過ぎ、最近のマンションでは建材や金物、管材などの設備関係において、高性能のものが採用され、全体的に長寿命化が図れるよう、建物が造られています。
①外壁
マンション外壁の変遷をみると、主要な部分は塗装からタイルへ、パネルの外壁へと、より高耐久性の仕様となっています。
タイルやパネルは割れる、剥がれるといった劣化はあるものの、建物を紫外線から守ることで躯体自体の劣化や変色を軽減させています。
②手摺
手摺の変遷は、スチール製(鉄製)からアルミ、パネルへと、サビない、設置根元のコンクリートが割れにくい仕様になっています。
手摺は根元から直にコンクリートにはめ込んで設置されています。鉄製は外気の気温差などで膨張・収縮を繰り返すため、コンクリートを破壊するデメリットがありました。
③シーリング
シーリングはノンブリードタイプが使用されるようになり、可塑剤による汚れが付着しにくくなっています。
④床材
バルコニー床、開放廊下床がコンクリート・モルタル仕上げ、よくても塗装仕上げだったものから塩ビシート貼りへなど、防水機能が向上しています。
⑤超高層タワーマンションの普及
近年、高層マンションには免震構造、高強度コンクリートが採用され、タイルも現場での貼り作業から工場で製造して現場で組み立てる型枠打ち込みにより、精度が向上しています。免震構造は地震対策だけでなく、外壁面のひび
割れが起きにくいという効果もあります。
⑥長期修繕計画
長期修繕計画の普及と定期的なメンテナンス、手入れをすることへの関心と習慣化により、より大がかりな修繕工事を必要とするダメージを防いでいます。
■ 18年周期にした場合の懸念事項
①生活上の不具合対策
事実上の改善・改修工事を実施するタイミングが長くなるため、生活に密着した不具合の改善が遅くなる可能性が出てきます。
エントランス入口の段差を解消してほしい、集会所のドアの開閉が重いなど、大規模修繕工事と同時に実施したほうがよい場合があり、住民の要望が聞き入れられるのが遅くなる懸念があります。
②法的調査と大規模修繕工事のタイミング
建築基準法上の3年ごとの建築物定期調査(自治体によりマンションが対象かどうか異なるので注意)と、大規模修繕工事の実施のタイミングがずれる期間が長くなります。
建築物定期調査は建物の全面打診調査の項目があるので、大規模修繕工事と一緒にやるほうが得策であるなど、実施時期が計画とずれることがあります。
③事故リスク
事例としてはごく少ないですが、劣化進行による事故リスクが高まります。
机上の計画だけで12年から18年に延ばすのではなく、定期的なメンテナンスや調査診断を行った上で、大規模修繕工事の実施時期を決める必要があります。
④管理組合役員の精神的負担
「何かあったら大変だ」という管理者である理事長、管理組合役員の精神的な負担が払しょくできないケースがあります。 (次号につづく)
(大規模修繕工事新聞126号)

外壁タイル不良個所のマーキング

塗材の選定も大事

鉄部をアルミ製へ変更