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管理組合役員勉強会「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」③

管理組合役員勉強会「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」③

全国建物調査診断センター

12 / 15 東京・京橋 住宅あんしん保証本社会議室にて

全国建物調査診断センターは12月15日、東京・京橋で管理組合役員勉強会「役員さん、大規模修繕工事の備えは十分ですか?」を開きました。
㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)の佐藤成幸常務取締役の「大規模修繕、知らないと損する『失敗の研究』」紙上採録3回目です。

失敗事例の紹介①倒産する会社を選定してしまった…

事例概要
SRC13階建て・686戸
・ 施工業者選定に公募を実施し20社集まり、そのうち16社に見積もり依頼を行った。
・ 設計見積もり約9億8000万円のところ、見積最高額8億5400万円、最低額5億4800万円だった。
・ 11社のヒアリングを実施した結果、最安値の会社に決定した。

事例物件ではその後、工事竣工1年も経ずに施工業者が民事再生の申し立てを行いました。結果として、工事保証関係事項は債務免除となり合法的にすべてが白紙となってしまったのです。
そもそもコンサルタントは公募時点で会社の経営状況や財務状況が悪化していることを把握していたので、見積依頼自体をしないよう助言していました。にもかかわらず、「見積もりだけでも…」と安直な意識が働いて見積もりを依頼し、結果、その会社が出した最安値に目がいってしまったのです。
ヒアリングを11社に対して行ったことも問題で、表面上のことしか聞き取りができませんでした。最終選考では、委員全員が疲労困ぱいして冷静な判断ができず、また最安値を覆す理由がみつからずに結局、その後倒産する会社を選定してしまったのでした。

失敗事例の紹介②1委員がごねて業者選定を白紙に

事例概要
SRC、RC10階建て・124戸
・ 施工業者選定で、最終3社のヒアリングを実施。委員会、理事会が1社を決定した。
・ 総会承認の準備を進めていたが、決定した1社に対して強硬に反対する委員が納得せずに一般住民を巻き込んで阻止運動を行った。
・圧力に屈して、委員会、理事会が決定を白紙に戻した。
・ あらためて3社ヒアリングからやり直したら、当初と違う会社になった。この会社は強硬な反対を申し入れていた委員があからさまに推薦する会社だった。

2回目の施工会社選定時に委員・理事のほぼ全員が、強硬に反対する委員を大いに意識して会社を決定したため、総会で選定経過をきちんと説明できず、組合員から不信感をかいました。
コンサルタントは一度決めたことを白紙にすることには反対で、法的措置を取るという断固たる姿勢をもってでも突っぱねるようにと助言していました。しかし、反対者の圧力に屈して言うことを聞き、客観的な視野が必要な施工業者選定において、俗人的な要素を取り込んでしまったようです。

失敗事例の紹介③改修専門ではない地元業者選定があだに

事例概要
SRC10階建て・161戸
・ 管理組合としては、工事見積もりを地元業者から優先的に取得したいという意向があった。
・ コンサルタントは、今回の工事内容では地元の小さな業者では困難と考え、改修専門会社の見積もり取得を助言した。
・ 見積もり取得後、ヒアリングを実施するように理事会に助言したが、そのまま地元業者に決定した。

地元業者は改修工事を専門としていない会社であるので、工事優先となり、居住者対応がまったく後手に回る工事になってしまいました。
逆に現場代理人は、慣れない居住者対応に追われ、肝心の工事の品質や工程といった管理に時間を充当できません。結果的に散々な出来栄えの工事になりました。
コンサルタントは地元業者について、共同住宅改修工事について経験ゼロと把握していました。したがって採用を見送るように助言していたんですが、理事会には聞き入れてもらえませんでした。
地元だから小回りが利く、緊急時の対応が早いなどの期待もありましたが、そもそも居住者のニーズを把握していないので、小回りが利く以前に根本的な広報さえできません。
緊急時の対応は担当者個人の携帯電話のみで、台風が来たときにはあちこちから電話が入っている様子で結局通話もできないというありさまでした。
地元だからという利点も、ケースによっては錯覚となる認識を持つべきでしょう。

(大規模修繕工事新聞 2014-3.5 No.51)


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