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Q83 点検未実施の管理会社へどう主張できる?

Q83 点検未実施の管理会社へどう主張できる?

 管理会社がエレベーターなどの設備点検を実施していないことがわかりました。契約上の委託業務となっているにも関わらず、事業年度ごとの報告もありません。管理組合として、管理会社に対してどのような主張をすることができますか。

ベストアンサーに選ばれた回答

点検未実施は法上の業務不履行
履行の強制、損害の賠償、契約の解除も可
 エレベーターなどの設備点検の未実施は契約上の義務について不履行です。管理業務の報告など一定の重要事項については、法律によって管理会社に義務づけられています。いずれにしても管理組合としては、管理会社に対して法的措置をとって求めることが可能です。
◆管理委託契約
 管理組合と管理会社の間で交わす管理委託契約書には、「エレベーター設備 保守点検・月2回、法定点検・年1回」などと記載されています。この契約の業務内容を実施しない場合、管理組合は民法上の債務不履行に関する規定に従い、管理会社に対し、①履行の強制を請求する、②損害の賠償を請求する、③履行を催告した上で契約の解除をすることができます。

◆管理会社の法定義務
 マンション管理適正化法では、①委託を受けた管理事務のうちの基幹事務の一括再委託の禁止、②受託管理事務についての帳簿の作成および保管、③財産の分別管理、④管理事務の報告、⑤書類の閲覧、⑥秘密保持を義務付けています。
◆管理事務の報告
 上記④の管理事務の報告については、適正化法77条で「管理会社は管理者に対し、定期に管理業務主任者をして、当該管理事務に関する事項を報告させなければならない」と規定しています。
 管理会社が管理組合に対し、事業年度ごとの管理業務の報告をしない場合、国土交通大臣は1年以内の期間を定めて、その業務の全部または一部の停止を命ずることができることとなっています(適正化法82条2号)。
◆マンション管理業者の団体による苦情の解決
 問題のある管理会社が、マンション管理業者の団体である一般社団法人マンション管理業協会の会員会社である場合、管理組合は同協会に対しても、苦情の解決を申し出ることができます。
 同協会は、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該管理会社に対しその苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければなりません(適正化法96条1項)。
ただ、同協会での解決は、司法上、行政上、またはこれらに準ずる解決ではありません。
    <参考引用:田山輝明・鎌野邦樹編『マンションの法律Q&A』>

大規模修繕工事新聞 133号


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