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外国人作業員の時代がやってくる!?(その2)

 工事の水準を安定させるために

◆職人賃金の現実

 52-1建物等の工事には職人が要る。ところが近年、若者が減少傾向にある。「きつい」「汚い」「危険」の3Kが敬遠されているからだ。加えて彼らの賃金がナント低い。
2012年の男性の賃金総支給額の全産業平均は529万円で、建設業界は391万円。全産業の4分の3程度の賃金のため、経済的に魅力がなく、働く意欲が持てない。これが職人数激減の主因である。

しかも、社会保険に未加入業者も多い。それらは、業者自体の収入が低いことに起因する。

 ◆収支のズレに不安感

ある改修業者は配下の業者を大事にし、毎月支払うことで工事水準を安定させている。
それによってお客様(管理会社、管理組合等)に迷惑をかけないよう、元請けとして信用を維持しているわけだ。しかし、管理組合からの支払いは工事終了後が多く、収支のタイミングに大きなズレがあるという。

当然、金融機関に対し、運転資金の借り入れを申し込むわけで・・・

(下請け業者の安定のために毎月支払いを行う元請け業者がある。工事終了後に工事代金を支払う管理組合が多く、そこで収支のタイミングに大きなズレが生じ、金融機関から運転資金を借りるケースが出てくる。)
ところが、それを知らぬ管理組合からはヒアリング時に、借入金額が多いのではないか。経営に不安があるのではないか、という質問が多いという。

続く職人不足、その打開策は!?

◆建物等の維持・保全のために

賃金を上げるためには、発注元の管理組合は「見積もりを叩きすぎない」ことが肝心だ。「安ければよい」と叩くと、業者は仕事を取るために職人への支払いを減らす。
手抜き工事も生まれかねない。
一部を完工から1年後の支払い契約を求める管理組合もあるようだ。
元請け業者は、下請け業者に対しては早く支払いたいので、やはり銀行から借り入れて賄う。経営を苦しめることになる。
1年後の支払いは、瑕疵等が発生した時の担保という性格である。しかし、瑕疵等が発生したときに施工会社が対応しなければ、その会社は社会からスポイルされる。

◆職人の育成も大切

国や地方自治体の事業を民間企業などに委託する際に結ぶ公契約では最低賃金などを定めており、その考え方の導入も必要かもしれない。

工事開始後から完了までに4分割して支払っている管理組合もあるが、とても少ない。
職人の賃金を平均賃金に戻し、彼らには技量向上に励んでもらい、建物等の維持・保全に努めてほしい。管理組合として、職人等の育成に関心を持つことも大切である。(論説委員会)
◇ ◇ ◇
NPO日住協の上記の論説を受け、職人不足の打開策を考えてみます。
人手不足の問題は工事の進捗の遅れ、納期のずれ込み、品質の向上が見込めないことにつながります。今後は公共事業の増加に加え、東京五輪・パラリンピックの開催等で、適正な賃金の確保ができなければ職人離れがますます進んでいくことになりかねません。
労働力の矛先は外国人作業員に向けられる時代が来るのでしょうか。

<NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年3月5日付第378号「論談」より>

(大規模修繕工事新聞 2014-4.5 No.52)


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