全国建物調査診断センターでは数年前より大規模修繕工事の18年周期を提案しています。その他業界の動向では2021年、いくつかのデベロッパーが18年周期の大規模修繕工事を前提として長期保証マンションを発表しました。
いずれも高耐久化・高品質化する資材、工法が開発・販売されるようになり、マンションのライフサイクルの長期化を可能としているのです。
しかし、大規模修繕工事の長周期化は本当にマンションのライフサイクルコストの低減が図れるのでしょうか?「大規模修繕工事の長周期化の目的とは」と題し、株式会社ティーエスケー・山川正人氏の取材協力のもと、数回に分けてレポートします。
大規模修繕工事はうるさいし、長いし、臭いし、バルコニー使えないし、できればやりたくないものです。それでも居住者の安全・安心な暮らしを守り、資産価値を維持するための大切な工事です。
そこで高品質・高耐久の建築資材(塗料・防水材)を使用することで修繕サイクルを延ばすことができれば、「やりたくない工事」の回数が減ることにつながります。さらに修繕回数を減らすことで居住者の金銭的な負担を軽減させることにもつながります。
大規模修繕工事で採用する材料をみてみましょう。
前回工事の補修図を参考に使用材料等を確認すると、どのような材料を使用し施工を行ったのかがわかります。使用した材料をもって、専門家に次回の修繕工事内容を提案してもらうことができるのです。
【専門家による修繕工事内容の提案例】
⇒長周期化に向けた工事提案(使用材料・施工仕様)
⇒長周期化には使用材料の耐用年数が重要
⇒どの程度の長周期化が図れるのか?
現在の建物の劣化状態と使用している材料との兼ね合いで次回の大規模修繕工事の時期を決めることができます。
そして、その次の大規模修繕工事に向けては長周期化を目指します。
1回目なら2回目に向けて、2回目なら3回目に向けて大規模修繕工事の周期を15年~ 18年で考慮し、計画するようにしましょう。
大規模修繕工事の長周期化は建物の劣化を鈍化し、居住者の金銭的負担も軽減されます。
大規大規模修繕工事新聞8月号No.152