Q 管理組合による空き住戸購入は可能? 手続き、留意点を教えてほしい
賃貸もしくは転売目的で購入者や賃借人の募集をしているにもかかわらず、新たな入居者が見つからないまま空き住戸にしているところがあり、管理費等の長期滞納もしています。いっそのこと、管理組合で集会室として
購入してはどうかという案が理事会で出されました。
管理組合で住戸を購入することは可能でしょうか?可能であれば、その手続きや留意点等を教えてください。
A 管理組合法人化で権利義務の主体に 購入資金の取り崩しにも確認が必要
管理組合が当該空き住戸を購入し、集会室とすることは可能です。
ただし、管理組合所有として登記するためには、管理組合の法人化が必要であり、法人化していない管理組合では、理事長個人名義(あるいは区分所有者全員の名義)で登記する必要があります。
区分所有者全員の共有登記とする場合は、区分所有者一人ひとりから実印付きの委任状や印鑑証明書を入手して手続きをしなければなりません。また、区分所有者の変更があった場合には、いちいち登記変更しなければなりません。
他方、管理組合を法人化しておけば、管理組合法人が権利義務の主体となりますので、そのような煩雑な手間が発生しません。
管理組合の法人化のためには、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による総会決議(特別決議)で、「法人となる旨」「法人の名称」「事務所所在地」を定めることが必要です(区分所有法47条1項)。
ちなみに、管理組合を法人化すると、不動産だけでなく、銀行口座や自動車、電話加入権なども管理組合法人名義で保有できます。管理組合の財産と理事長個人の財産の区別が明確になるというメリットもあります。
管理組合が取得した住戸は規約共用部分として登記します。共同の集会室として利用する場合、この住戸が規約共用部分であることを第三者に対抗(主張)するためです。登記した後、実際に住民間で使うためには集会室使用細則等を作って運用することが望まれます。
ところで、購入資金の元手について、修繕積立金会計で賄う場合、その取り崩しが管理規約条文と合致しているかどうかの確認も必要です。
マンション標準管理規約28条では、「その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理」について、修繕積立金を取り崩すことができるとしています。
取り崩しできる条文がなければ、できるように規約を変更しなければいけません。さらに総会の特別決議が必要となります。
(大規模修繕工事新聞 154号)
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