一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会(建産協)が2月22日~2月28日、You Tube配信したマンション省エネ改修提案オンラインセミナーから、国土交通省住宅局住宅生産課ストック活用係長・髙橋克彰氏の講演「改正建築物省エネ法及びリフォーム補助制度等について」を採録します。大規模修繕工事等を計画している管理組合にとって、補助制度は検討材料のひとつです。参考にしてください。
改正建築物省エネ法の背景
2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46パーセント削減の実現に向け、令和4年10月に地球温暖化対策等を強化することが決定されました。
これを受けて、エネルギー消費の約3割を占める家庭、その他業務部門が関係する建築分野での省エネ対策を加速させ、木材需要の約4割を占める建築分野での木材利用の促進をする必要があります。
2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、第6次エネルギー基本計画等では、2050年に住宅建築物のストックの平均で、ZEH・ZEB(ゼッチ・ゼブ)の水準の省エネ性能の確保を目指すこと、2030年度以降、新築される住宅建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指すこととされ、抜本的な取り組みの強化が必要となっています。
本改正は、建築物分野の省エネ対策の強化、吸収源対策としての木材利用拡大等を通じ、脱炭素社会の実現に寄与することを目標としています。
マンションに関する補助制度の説明
1.こどもエコすまい支援事業
本事業は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯、若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯、若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることを目的に、令和4年度第2次補正予算に盛り込まれました。
新築はZEH住宅すなわち強化外皮基準かつ再エネを除く一次エネルギー消費量マイナス20パーセントに適合する住宅を取得する若者夫婦世帯・子育て世帯に対して、戸当たり100万円。
リフォームは省エネ改修を実施したものに対して戸当たり上限30万円を補助します。
なお、本事業のリフォーム工事においては、1)経済産業省・環境省の高断熱窓の設置に対して補助をする、「住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業等(通称:先進的窓リノベ事業)」、2)経済産業省の高効率給湯器の設置に対して補助をする「高効率給湯器導入促進による家庭部門のエネルギー推進事業費補助金(通称:給湯省エネ事業)」と連携をします。
手続き面については、どの省庁の事業を活用する省エネ改修等であっても、共通のホームページから補助申請を可能とするなど、申請手続きを簡便化、ワンストップ化する予定です。
2.長期優良住宅化リフォーム推進事業
◆補助金を受けるために必要な要件
本事業は、質の高い住宅ストックの形成のため、既存住宅の長寿命化に資するリフォームを支援する補助制度です。
① リフォーム工事前にインスペクション(建物状況調査)を行うとともに、維持保全計画およびリフォーム履歴を作成すること
② リフォーム工事後、性能項目について一定以上の性能基準を満たすこと
③ 性能項目で「性能を向上させるリフォーム工事」、「三世代同居対応改修工事」、「子育て世帯向け改修工事」、「防災性・レジリエンス性向上改修工事」のいずれかを行うこと
大規模修繕工事新聞 160号