「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

マンションの劣化と調査・診断の基本②

●劣化現象
その2<コンクリートの中性化>
コンクリートは空気中の炭酸ガス、その他の酸性ガス、塩類などの影響によりアルカリ性を失い、酸性へ向かう過程で中性化していきます。
中性化が進行すると、内部鉄筋の強度が下がります。ただ、コンクリートそのもの強度が下がるわけではありません。中性化の進行により、コンクリートが防錆作用を失い、内部鉄筋のサビ・腐食を招き、それがコンクリートの耐力の低下につながることになるのです。

●調査・診断方法
<中性化診断の方法>
測定部位のコンクリートをコアドリルによって、一部分を円筒状にコア抜きし、コア抜きしたコンクリート・サンプルにフェノールフタレイン溶液を噴霧して行います。
フェノールフタレインはpHが9.8以上のアルカリ性に対して赤色に変色し、pH8.2以下は無色のまま変色しません。
このため、無色の部分を中性化が進行している範囲とします。
中性化の深さ(範囲)は、スケール付の内視鏡(コンクリートチェッカー)やノギス等を用いて測定します。

「ドリル削孔(粉末)法」もフェノールフタレインを用いた方法です。フェノールフタレインを噴霧した試験紙を試験個所に下に置き、電動ドリルでコンクリートを削孔して、コンクリートの粉末を落とします。試験紙に触れて赤紫色に変色したときに削孔を停止。ノギスを用いて孔の深さを測定し、中性化深さを測ります。

試験終了後は、削孔した孔をモルタル等で充てんし、修復します。

大規模修繕工事新聞161号