6月号、7月号につづき、改正労働基準法による建設業2024年問題を取り上げます。
来年4月1日以降、主に「時間外労働の是正」「現場の処遇改善」「生産性の向上」の3項目の取り組みが建設企業に求められます。
具体的には、週休2日制の促進や時間外労働に対する残業代の増加、重層下請け構造の改善など。管理組合としては、建設企業への規制は工事費に跳ね返ることを念頭に入れておかなければなりません。
今回は、建設業界の「一人親方」にスポットを当ててみます。
一人親方とは、労働者を使用せずに、自分自身(自分を含めた家族)のみで特定の事業(建設業)を行う人です。
建設業界では、道具と材料があれば独立でき、働いた日数に応じて報酬を得られることから、より多くの収入を得たい技能労働者の「一人親方化」がさらに進むとされています。
建設業2024年問題では、働く日数に限りが生じます。
本来、建設企業は下請け企業の社員などとして扱わなければならない労働力を、独立した一人親方で賄うようになります。
一人親方は、建前として建設企業とは指揮命令関係が生じません。しかし、実際には特定の会社から仕事を受ける場合が多く、直接指示・命令を下して労働をさせる「偽装請負の一人親方」化が問題になっています。
国土交通省では、この偽装一人親方問題を「作業員の処遇低下や公正・健全な競争環境を阻害する大変重要な問題」としてとらえています。
いずれにせよ、働き方改革が求められる建設業2024年問題は、大規模修繕工事も関わってきます。
工事日程に制約が出て、短期間で集中的に工事を行わなければならない場合、人材確保として、あらゆる方面から人が集められます。建設業作業員の高齢化が深刻化する中、人材確保は施工会社の頭の痛いところです。
管理組合では、建設業界の内情もある程度把握しながら、どうしたら品質の確保ができるのかを追求していきたいものです。
大規模修繕工事新聞8月号(23-08)