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住宅のリースバック/マンション管理との接点、管理組合が留意する点とは?

近年不動産取引が増加傾向にあるリースバックですが、制度の内容や契約等について利用者の十分な理解を得ておらず、トラブルに発生するケースも同時に増えています。また、リースバックは住みながら自宅を売却するため、マンション管理における留意点も少なくありません。ここでは国土交通省作成『住宅のリースバックに関するガイドブック』などを参考に、リースバックの利用についての留意点などを紹介します。


こんなトラブルに注意しよう
                 ※ガイドブックより
CASE1  強引な勧誘で契約してしまい、後々解約を申し出たら巨額な違約金を請求された!
CASE2  支払賃料の合計額が数年で売却価格を超えることに後々気づいた!
CASE3  市場での取引価格より著しく低額な代金で売却してしまった!
CASE4  当初思っていた話と実際の賃貸借条件が違い、住み続けられない!

マンション管理上の留意点
・ リースバックによって直ちに区分所有者の変更が生じる
・ 従前の所有者は、自宅を売却することで所有権を失い、賃借人となる(組合員資格を喪失する)
・ 従前の所有者が滞納していた場合、リースバックの時点から、従前の所有者のみならず事業者に対しても請求することが可能となる。
・ ただし、リースバック契約時の売却代金から滞納金の支払いが可能となるため、契約と同時に滞納金の処理を行うことができる(管理組合に事前情報が必要)
・ 新たな組合員の資格を得喪する際、「区分所有者変更の手続き」「総会招集通知先の届出」等、管理組合に対して適切な手続きをとるよう要請する必要がある。
・ 現役員がリースバックを利用した場合、管理組合は後任の役員を選出しなければならない(役員資格がなくなるため職務継続義務は生じない)
・ 事業者は早期の転売を予定しているケースもあり、管理組合活動に積極とはいえない可能性がある(リースバックが拡大すると、管理組合運営に支障を来たす)

 リースバック等は新しい住宅の取引形態として、マンションでも今後拡大する可能性があります。しかし、利用しようとする個人にも、管理組合にも十分な情報が行きわたっていません。また、直接の法的規制もありません。
 管理組合としても、マンション管理上の留意点だけでも掌握しておく必要があるでしょう。

 

 

大規模修繕工事新聞 167号 23-11