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第三者管理方式、その留意点とは…/外部専門家活用ガイドライン再整備へ

第三者管理方式、その留意点とは…
部専門家活用ガイドライン再整備へ
注目は管理会社の管理者権限、監査方法―

■管理会社提案、理由は人材難だけ?

管理会社による第三者管理方式が問題になっています。
内容は、管理会社が区分所有法上の管理者となり、理事会の役割を代行しようというものです。マンション管理業界では昨今、管理会社の人材難はもとより、管理組合による役員のなり手不足が深刻で、このために管理会社からの提案が進んでいると言われています。
一方、理事会という執行機関がなくなれば、管理会社の判断で管理組合の財産をもってマンションの維持管理や修繕業務を行えてしまいます。もっとも注視すべきは管理会社の利益相反行為です。管理組合資金、積立金が管理会社の判断で使われてしまうということになるのです。
管理会社による第三者管理方式の提案は本当に人材難だけが理由でしょうか?

■「第三者管理方式」のメリット

「第三者管理方式」自体を望む声は少なくありません。
マンション標準管理規約においても、背景にマンションの高経年化、大型化、高層化による管理の困難化・高度化・複雑化(コメント全般関係③)があり、さらに住民の高齢化による役員のなり手不足、管理会社の人材不足など、近年のマンション管理の課題への対応策のひとつとして考えられています。
困難な合意形成、特定の人に集中する負担などの問題解決として、外部専門家を活用した第三者管理方式は今後、マンション管理のトレンドになる可能性があるといえるでしょう。

■標準管理規約は「理事会中心」が基本

マンション標準管理規約は「理事会中心の管理組合運営」を基本としています。このため、外部専門家を活用する場合も、従来どおり理事会を置き、理事・監事または理事長を外部専門家とするパターン(①)を想定しています。
その上で、理事会は監事的立場で管理者となる外部専門家を監視するパターン(②)、外部専門家を管理者として理事会を廃止するパターン(③)の考え方が示されていますが、これらのパターンを採用する場合には、監査・監視体制を整備する重要性が説かれています。
そもそも標準管理規約が「外部専門家」としてイメージしているのは、マンション管理士、弁護士、建築士などで、管理業務を受託する管理会社を管理者とすることは想定されていません。

■管理会社提案、理由は人材難だけ?

 管理会社による第三者管理方式が問題になっています。
 内容は、管理会社が区分所有法じょうの管理者となり、理事会の役割を代行しようというものです。マンション管理業界では昨今、管理会社の人材難はもとより、管理組合による役員のなり手不足が深刻で、このために管理会社からの提案が進んでいると言われています。
 一方、理事会という執行機関がなくなれば、管理会社の判断で管理組合の財産をもってマンションの維持管理や修繕業務を行えてしまいます。もっとも注視すべきは管理会社の利益相反行為です。管理組合資金、積立金が管理会社の判断で使われてしまうということになるのです。
 管理会社による第三者管理方式の提案は本当に人材難だけが理由でしょうか?

■「第三者管理方式」のメリット

 「第三者管理方式」自体を望む声は少なくありません。
 マンション標準管理規約においても、背景にマンションの高経年化、大型化、高層化による管理の困難化・高度化・複雑化(コメント全般関係③)があり、さらに住民の高齢化による役員のなり手不足、管理会社の人材不足など、近年のマンション管理の課題への対応策のひとつとして考えられています。
 困難な合意形成、特定の人に集中する負担などの問題解決として、外部専門家を活用した第三者管理方式は今後、マンション管理のトレンドになる可能性があるといえるでしょう。

■標準管理規約は「理事会中心」が基本

 マンション標準管理規約は「理事会中心の管理組合運営」を基本としています。このため、外部専門家を活用する場合も、従来どおり理事会を置き、理事・監事または理事長を外部専門家とするパターン(①)を想定しています。
 その上で、理事会は監事的立場で管理者となる外部専門家を監視するパターン(②)、外部専門家を管理者として理事会を廃止するパターン(③)の考え方が示されていますが、これらのパターンを採用する場合には、監査・監視体制を整備する重要性が説かれています。
 そもそも標準管理規約が「外部専門家」としてイメージしているのは、マンション管理士、弁護士、建築士などで、管理業務を受託する管理会社を管理者とすることは想定されていません。

■管理会社が管理者となる場合の問題点

 管理会社が管理者を務める方式では、建物修繕等において自分で見積もりを書き、自分に発注するわけですから、利益相反行為への対応は必須です。
 また、管理組合財産を従業員等が着服するなどの違反行為を行い、監督処分受けた管理会社は今も後を絶ちません。
 管理会社が管理者となれば、印鑑や通帳の保管体制、金銭事故への対処の信頼性がどこまで持てるかは不明です。
 標準管理規約では①区分所有者から監事を選任して監視する、②全区分所有者により総会で監視する、③監査法人等の外部監査を義務付けるなどの考え方が示されていますが、そうした体制が簡単にできるでしょうか。
 管理組合資金、修繕積立金保全へのリスクマネジメントを講じなければ管理会社に管理者を任せることはできないといえるでしょう。

■「外部専門家の活用ガイドライン」再整備へ

 管理会社お任せの場合の業務発注は、管理会社の関連会社への受注につながります。金額も相場と比べて高額となったり、トラブルになったり―管理組合からの主な相談では、「管理会社への不信感」がいつもトップランクにあります。
 管理者(管理会社)が発注者として、自身の管理会社または関連会社が受注することは明らかに問題です。
 国土交通省では今年10月から有識者による「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」を設置しました。管理会社が管理者となる管理形態やマンション管理適正化法に係る解釈・運用について議論を行い、来年3月には「外部専門家の活用ガイドライン」改正案をとりまとめる方針としています。
 ガイドラインの再整備で注目されるのが、管理会社の管理者権限です。
 修繕工事をはじめとするマンションで発生する業務について、管理者の権限により、管理会社の協力会社への発注が進めば、別法人だという理屈で利益相反がまかり通ってしまうことになりかねません。
 そして、「監事が有する権限」「監査の方法」も注目したいポイントです。プロの管理会社に対し、素人の管理組合の監査がどこまで通用できるでしょうか?監事も外部専門家に任せることになれば、プロ対プロの構図が生まれますが、それは管理組合という当事者が舞台から退場するということを意味します。
 管理組合としては何より、自分の財産は自分で守らなければなりません。全国建物調査診断センターでは、管理組合のリスクマネジメントに応じるため、弁護士、マンション管理士等の専門家が相談を受け付けています。

 

大規模修繕工事新聞167号(23-12)