役員のなり手不足を解消するために
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2024年8月5日付第503号「論談」より
最近寄せられた相談の一つに「管理組合役員のなり手不足」にどう対処したらよいかという話がある。この問題にはいくつかのアプローチがある。
■役員業務の実情は
多くの管理組合は、管理会社に業務委託をしており、役員は大方が輪番制である。
役員辞退の理由は、高齢者は動けず任務が果たせない、若者は仕事と育児で手一杯との理由が中心だ。
一方、理事などの仕事を見てみれば、月1~2回の理事会出席+アルファ程度が大部分である。
この条件のもとで役員不足解消は、本当に果たせないだろうか。
■まずは意義の徹底
思うに、分譲マンションでは、持ち主である区分所有者(組合員)が自律的に自分たちの判断で自由に運営していける組織であることの核心が、よく知らされていないのではないか。
業務は管理会社にやってもらうが、マンションをどうするかの将来方針は自分たちで決める。この意義・基本を組合員に分かってもらえれば、役員就任への理解も深まると思う。
■よく話し合う
役員就任は、義務の面もあるが権利でもある。会議出席など一定の時間は取られるが、自由に意見は述べれられるし、編集・広報、会計、イベント、修繕などで自分の経験やの能力を発揮する場もあり、知人・友人も増える。
現在の理事は、こうした意義を次期役員対象者はじめ組合員によく説明してほしい。NPO日住協の管理組合運営の参考書もある。
役員を辞退する人の多くは、役員の仕事を過大視しているのではないか。
業務委託をし、役員輪番制のもとでは、会議に出席できる体力と時間がある人ならば、だれでも役員はできる。
これらも含めて、関係者でよく話し合ってほしい。
■業務簡素化の工夫
もちろん、理事会の会議や業務も合理化・簡素化し、業務に参加しやすいようにする工夫も重要である。
そのためには、役員の担当業務を細分化し、会計、広報、ペット、修繕など各人の興味と能力のある分野を担当してもらう。
またオンライン会議の導入も検討してほしい。通信機器の発達で、高齢者でも多少の訓練で機器の使用が可能になってきている。
■若い世代も高齢者も
管理組合の具体的状況により、アプローチはいろいろあり得る。NPO日住協では管理組合の運営サポート、相談もしており、活用されたい。 (NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞177月号(24-9)