
管理費滞納解消のポイント
NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2024年10月5日付第505号「論談」より
◇意外に多い滞納割合
国交省の2023年度マンション総合調査によれば、管理費、修繕積立金の滞納(3カ月以上)が発生しているマンションの割合約29 % で、2023年度では5年前より5%増加している。
完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど、管理費等の滞納があるマンションの割合が大きくなる傾向がある。完成年次が2015年以上では15.0%に対し、1984年以前では43.2%となっていて、約2.9倍である。
◇管理費の集金は根幹
管理費等を確実に集金することは、管理組合がマンションの適正な管理の上で根幹的な事項である。
滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあり、滞納された管理費等の回収は極めて重要である。管理費等の滞納者に対する必要な措置を講じることは、管理組合の最も重要な責務の一つである。
◇管理会社の督促業務
管理会社との委託契約では、当初は管理会社が滞納者に督促をするが、滞納者が支払わない旨を明らかにしているとか、督促に対して滞納者が明確な返答をしない状態になった場合は、管理組合自らが滞納の交渉に当たることになっている。
滞納に対応して管理費納入を求める最終の責任はあくまでも管理組合(理事会)にある。
◇基本は日常のPRを
個々の滞納対策が重要であることはいうまでもないが、基本は管理費、修繕積立金の管理組合活動における重要性を区分所有者によく理解してもらうことである。
そのために日常的なPR活動は欠かせない。
なんといってもマンションの共用部分の維持管理は、区分所有者の管理費で賄われている。したがって、その費用負担は、区分所有者にとって、最優先というべきものである。
この平凡だが基本的なあり方を、繰り返しPRしてほしい。
◇早期回収がポイント
長期間の滞納になると通常の督促方法ではなかなか支払ってもらえない。
理事会では、滞納発生の直後から、どうするかの対応マニュアルを決め、管理会社とも連携して、確実にマニュアル通り実行する。特別に対策を要するケースでは、理事会でよく検討し、個別の対策も実施してほしい。
支払督促や少額訴訟などの法的手段も一定の時期を越えたら実施するのが望ましい。そのため弁護士費用の滞納者負担などを規約に整備しておく必要がある。
(NPO日住協論説委員会)
大規模修繕工事新聞179号(24-11)