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管理委託費の値上げにどう対応するか

NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2025年2月5日付第509号「論談」より

 ◇値上げラッシュだが
 最近、管理会社から管理委託費の値上げを要求されるケースが激増している。
 管理会社にすべての業務を委託しているマンション管理組合の場合、
管理費会計全体の70%~80%を占めていて、直ちに管理費の値上げに直結するため大きな悩みとなっている。
 管理委託費の値上げにどう対応したらいいだろうか。

◇根拠の明細を求める
 値上げの理由としては、人件費の高騰や諸物価の上昇があげられている。
 確かに人件費高騰では、最低賃金の引き上げや人材不足が要因となっている。この点は一概に否定できないところであり、値上げも一定の範囲では認めざるをえない面もある。
 したがって、管理委託費値上げを要求された場合、まずはじめに、管理会社から値上げの根拠を、しっかりと説明を受ける必要がある。
 マンション標準管理委託契約書の別表の各項目に沿って、どの項目がどれだけ上げる必要があるのか、根拠をふくめて明確に求める。
◇コスト削減をめざし
 値上げ要求を受けて、委託管理費の使用状況や、管理組合の業務の内容をしっかりと把握し、業務の改善、コストの削減を検討することが求められる。
 「どうしてこの項目を委託しているのか」「何を実現するためなのか」「この仕事量は、費用対効果は妥当なのか」「どの部分を削れば、費用削減に効果があるのか」など、委託管理の現場は区分所有者の生活の現場でもあり、日頃から管理会社との良好な関係を築きながら、アンケートを行うなど、管理組合員の総意を確認しながら進めることが必要である。

◇管理会社の変更は?
 管理会社の中には、「管理費を大幅に減らせる」などをキャッチフレーズにしてリプレイス(管理会社の変更)を働きかけているところも増えている。
 しかし、安易に管理会社を変更すれば解決する問題ではないことを理解すべきである。
 委託管理費の削減は魅力的に見えるが、落とし穴もある。当初は削減できたように見えたが、年々増額され、結局高くついたなどの話も聞かれる。
 業務内容の項目を一つひとつ現状とよく比較検討し、あなたの管理組合に見合った業務が本当に可能か、変更は念には念を入れてよく検討したうえで決定してほしい。(NPO日住協論説委員会)


大規模修繕工事新聞183号(25-3)