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《管理組合 修繕奮闘記》受水槽を撤去、直接各戸の蛇口へ 75mm増圧ポンプで直結増圧化

 横浜・金沢区のS住宅マンション管理組合で、地域の管理組合向けに給水直結増圧化工事の見学会を行った。当日
は8管理組合約20人が参加した。
 近年、各地方自治体では、給水方式を直結増圧化できる建物の範囲を拡大している。これにより、大型団地での直結増圧化も可能になり、採用事例が増えている。事例の管理組合はこうした規制緩和を受けて施工した大型物件である。
 横浜市など水道事業者の給水システムに対する動向により、給水工事の傾向は変動する。近年では、新築から直結増圧方式のマンションもあるが、高経年マンションでは受水槽、高架水槽方式が主流。横浜市のように対象範囲が広がれば、改修の際に直結増圧方式への給水システム変更は、そのメリットからもっと拡大していくと考えられる。

 管理組合では、多発する漏水事故などによる給水管改修の必要性から「計画修繕委員会(給水システム)」を設置。
受水槽(加圧給水)方式から直結増圧給水方式に変更する方針を採択した。
 主な理由は①修繕計画によると、将来、受水槽、加圧ポンプ設備の更新に約1.5億円の支出があること②受水槽、加圧ポンプ設備の維持管理費が現状で年300万円支出していること。直結増圧給水方式に切り替えると、①②の支出が節減できることになるのだ。また、受水槽跡地には6台分の駐車場が確保でき、管理組合収入となる。不要となる大きなポンプ室も取り壊して駐車場に改修することも理事会案として考慮中という。

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75mmの増圧ポンプ。小型化してスペースも取らないが、この1台で200戸まで給水ができる

75mmの増圧ポンプ。小型化してスペースも取らないが、この1台で200戸まで給水ができる
75mmの増圧ポンプ。小型化してスペースも取らないが、この1台で200戸まで給水ができる
真剣に工事の情報収集する参加者たち。実際にみると、工事内容もわかりやすい
真剣に工事の情報収集する参加者たち。実際にみると、工事内容もわかりやすい

工事の概要
・工事名:横浜・金沢区A住宅直結増圧化工事
・建物概要:築24年・13棟362戸+集会所
・主な工事内容:
   老朽化した共用部分の給水管をステンレス管に交換するとともに、加圧給水方式から直結増圧給水方式へ給水システムを変更する
・工事期間:4カ月間
・工事費用:
   総額約9,000万円・戸当たり約26万円(管理組合の積立金から全額支出)

直結増圧給水について

メリット
● 水道本管からの水が直接供給されるため、より清潔な水の供給が受けられる
● 受水槽等の清掃がなくなり、ポンプ点検などのメンテナンス費も大幅に節減できる
●ポンプの小型化で電気代が節減できる
● 受水槽跡地を駐車場などに利用できる(管理組合の駐車場収入が増える)

デメリット
● 受水槽を使用しなくなるため、災害時の飲料水の確保ができなくなる
● 水道本管の断水時には、マンションも同時に断水となる

(大規模修繕工事新聞 2013-5.5 No.41)


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