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海辺のリゾートマンション 躯体補修にピンネット工法を採用

57-02-01海辺のリゾートマンション
躯体補修にピンネット工法を採用

57-02-02ヨットハーバーを囲むように立地するリビエラ逗子マリーナ敷地内のマンションは計9棟・1,266戸。大部分が別荘として所有されている海辺のリゾートマンション。チャペルのあるブライダル会場やレストラン、パーティースペースなどが充実する海浜総合リゾート施設にある。

今回は、逗子マリーナ4・5号棟管理組合が実施した大規模修繕工事を取り上げた。

逗子マリーナ4・5号棟は222戸のうち、約60世帯が居住しているが、その他の約70%超が週末や休暇などに訪れる外部区分所有者である。
とはいえ、理事会はしっかり機能していて、第三者機関を入れる「設計・監理方式」を選択して工事計画を立てた。「設計・監理方式」とは、企画調査、診断、仕様・工法の検討、工事費の積算、業者選定の際の見積もりチェックなどを設計事務所等に委託し、工事中は業者の施工が適切に行われているかを監理してもらうもの。高級リゾート地では一般的に管理会社に「お任せ」となるケースが多いが、4・5号棟は人任せではなく、管理組合の「意思」を明示したというわけだ。
その理由として大きかったのが、着工時に経年が築38年になること海辺による塩害の影響が大きいこと、の2点。
特に躯体コンクリートの劣化状態はひどく、ひび割れにはポリマーセメントペーストをすり込んだり、電動グラインダーでU型に溝を作ってシール材を塗るUカットシール工法などを採用した。
さらに劣化が進んだ部分で鉄筋露出やコンクリート欠損部分はピンネット工法を採用。コンクリートドリルで躯体コンクリート中に30㎜以上の深さに孔を空け、ステンレスピンを挿入。エポキシ樹脂を充填し仕上げを行った。
その他でも、屋上や壁面などにも高級リゾートの重厚感を出す部材が用いられ、その劣化が進んでいた。こうした飾り部材を撤去し、建物の維持管理として、すっきりとした仕様とした。
施工を担当した㈱カシワバラ・コーポレーションの赤桐正和・現場代理人は工事を振り返って「下地調査の際、目視ではひび割れと判断できる箇所も、打診棒やハンマーで叩いてみると躯体コンクリートが大きく剥れ落ち、結局は鉄筋爆裂でした。爆裂補修に型枠を使用したりと新築工事かと思える程の補修内容で苦労しました。」と話している。
●設計・監理者:株式会社ディー・アール・シー一級建築士事務所
■本社:〒190−0003 東京都立川市栄町4−17−1 ☎042−521−6788(代表) 代表者:惣谷健太
設立:1986年(昭和61年)6月 資本金:4,000万円 http://www.lifeport-s.com
●施工者:株式会社カシワバラ・コーポレーション
■関東支社:〒212−0013 川崎市幸区堀川町580ソリッドスクエア西館10階 ☎044−540−1031(代表)
■南関東営業所:〒210−0834 川崎市川崎区大島3−36−7 ☎044−211−1613
代表者:柏原伸二 設立:1949年(昭和24年)3月 資本金:2億5,010万円 https://www.kashiwabara.co.jp

工事データ ○建物概要/ 1975年(昭和50年)3月竣工・RC造・2棟・9階建て・222戸 ○工事名/逗子マリーナ4・5号棟大規模修繕工事 ○発注者/逗子マリーナ4・5号棟管理組合 ○設計・監理者/㈱ディー・アール・シー一級建築士事務所 ○施工者/㈱カシワバラ・コーポレーション ○現場代理人/赤桐正和 ○主な工事内容 ・仮設工事/現場事務所、作業員休憩所、資材倉庫、工事用水電力等 ・下地補修工事/塗装面の洗浄、タイル面の洗浄、ひび割れ補修、鉄筋露出部・欠損部補修、モルタル面浮き補修 ・外壁等塗
装工事/バルコニー天井・壁、アプローチ天井、その他 ・鉄部塗装/鉄扉・高架水槽、その他 ・防水改修工事/バルコニー、外階段、庇、屋上・ルーフバルコニー(ウレタン塗膜密着工法) ・シーリング工事/屋上瓦状PC庇目地、開口部廻り、開口部皿板武、外構、その他 ・その他/ドレン金物竪樋改修、避難ハッチ交換(腐食部) ○工期/平成25年12月上旬~平成26年5月下旬(6カ月)
(大規模修繕工事新聞 No.57)

塩害による影響で爆裂個所が多い。鉄筋の錆をワイヤーブラシ等で除去し、鉄筋防錆材を塗布する
塩害による影響で爆裂個所が多い。鉄筋の錆をワイヤーブラシ等で除去し、鉄筋防錆材を塗布する

 

鉄筋露出部分のコンクリート・モルタルをすべてはつり、除去する
鉄筋露出部分のコンクリート・モルタルをすべてはつり、除去する
ハツリ部分が多い個所は、木で型枠を作って固定しながら補修作業を行った
ハツリ部分が多い個所は、木で型枠を作って固定しながら補修作業を行った
錆の処理をした後、コンクリートの脆弱面を強化するアルカリ性を付与し、アンカーピンを打ち込む
錆の処理をした後、コンクリートの脆弱面を強化するアルカリ性を付与し、アンカーピンを打ち込む
アンカーピンを固定し、コンクリートやモルタルの剥落防止を強化する
アンカーピンを固定し、コンクリートやモルタルの剥落防止を強化する
コンクリートの欠損部分にポリマーセメント系下地修復材を充填
コンクリートの欠損部分にポリマーセメント系下地修復材を充填
ポリマーセメント系下地修復材は高い遮断機能によって雨水や空気の浸入を抑止する
ポリマーセメント系下地修復材は高い遮断機能によって雨水や空気の浸入を抑止する
施工前。重厚感を出すために設置した木枠だったが、劣化による損傷が目立っていた
施工前。重厚感を出すために設置した木枠だったが、劣化による損傷が目立っていた
損傷の多い木枠を撤去し、すっきりとした外観に変更
損傷の多い木枠を撤去し、すっきりとした外観に変更
勾配屋根に高級感のある瓦を使用。劣化部分を交換した。瓦風にモルタル成型されたもので、今回は高弾性アクリルゴム系の壁面防水化粧材を使用した
勾配屋根に高級感のある瓦を使用。劣化部分を交換した。瓦風にモルタル成型されたもので、今回は高弾性アクリルゴム系の壁面防水化粧材を使用した
屋上は紫外線や温度変化の影響が大きく、劣化の進行が早い
屋上は紫外線や温度変化の影響が大きく、劣化の進行が早い
施工前の屋上の様子。高級感を出すために煉瓦状の飾りが設置されていたが、打ち込み部分から劣化がはじまっていた
施工前の屋上の様子。高級感を出すために煉瓦状の飾りが設置されていたが、打ち込み部分から劣化がはじまっていた
施工後の屋上の様子。不要な飾りはすべて撤去し、ウレタン塗膜密着工法を施した
施工後の屋上の様子。不要な飾りはすべて撤去し、ウレタン塗膜密着工法を施した

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