「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。首都圏、関西圏の約30,000の管理組合に直接、無料で発送しています。また、同じ内容のメルマガ版は登録いただいた方に無料配信しています。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」の過去から現在に至るまで、全ての記事を収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を左下の検索窓からキーワードを入れるだけで必要な情報を得ることができます。

生活騒音問題 管理組合に解決してほしいのですが…

マンション管理運営相談エトセトラ

生活騒音問題、管理組合に解決してほしいのですが…

 

相談内容

騒音問題で、ある居住者から管理組合に対して苦情がありました。理事会で話しを聞いてもらいたいということです。

子供の飛び跳ねる音、重い物を動かしているような音、犬の鳴き声など、当事者間で話し合いを行ったがまるで改善されないことから、管理組合に相談が来たのです。

当初管理組合では、理事会として議事報告を行い、騒音への注意を住民にみんなに呼びかけました。

しかし、その後も改善がないとして階下住民から再度苦情の申し出があり、管理組合で解決・対策を講じてほしいと言われています。

 

回  答

ごく一般的には上下階の騒音問題について、管理組合は関与しないというのが原則だが、影響が広範囲に及ぶような場合には理事会が前面に出て行って、相互の意見を聞きながら解決に乗り出すこともあり得る。

マンションにおける生活騒音トラブルは「フローリング改修」「住み方のマナー」の2通り。

フローリング改修については、管理規約等に遮音等級の規定を設け、それに準じていなければ原状回復を求めることができる。一方、住み方のマナーは感情的なもので左右されるため、管理組合で対応することは難しいし、裁判所でも和解を求められるケースが多い。

下記に2通りの判例を掲載した。参考にしてほしい。

◎フローリング改修

<トラブル事例>

絨毯張りの床をフローリング床に張り替えたため、上階の生活音が段階的に階下の室内に響くようになった。階下住民は慰謝料と差し止め請求として原状回復工事を求めた。

<判決例>

平成8年7月30日 東京地裁八王子支判

<判決要旨>

地裁判断では慰謝料請求のみ認め、差し止め請求を否定した。

① 不法行為を構成するか否か

管理規約に違反する形でフローリングに変更したことなどから、社会生活上の受忍限度を超える違法なものであると判断した。慰謝料75万円。

②差し止め請求が認められるほどの違法性を有するか否か

差し止めによる原状回復については相応の費用と損害をもたらすことから差し止め請求を是認するほどの違法性はないと判断した。

◎住み方のマナー

<トラブル事例>

引っ越してきた賃借人の子供(3~4歳)の走り回る音が受忍限度を超えるとして階下住民が訴えた事案

<判決例>平成19年10月3日 東京地裁

<判決要旨>

○ 子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音は、かなり大きく聞こえるレベルである50 ~ 60dB程度のものが多く、深夜にも及んだ

○ 被告が幼児をしつけるなど住まい方を工夫し、階下住民である原告に対し、誠意ある対応を行うことは当然である

○ 被告は、床にマットを敷いたものの、その効果は明らかではなく、原告に対して乱暴な口調で突っぱねるなど、その対応は極めて不誠実なものであった

○ 原告は、最後の手段である訴訟等に備えて騒音計を購入し、精神的にも悩み、原告の妻は、咽喉頭異常感、不眠等の症状も生じた

★以上の点から、裁判所は被告の住まい方や対応の不誠実さを考慮し、子供が廊下を走ったり、跳んだり跳ねたりする音は、一般社会生活上、原告が受忍すべき限度を超えるものと判断。被告に36万円(慰謝料30万円、弁護士費用6万円)の支払いを命じた。

<検証>

上階の生活騒音が不法行為となるか否かは、受忍限度を超えるかどうかの判断になる。

騒音に対する受け止め方が各人の感受性に左右されるものであり、階上、階下の住民の努力やコミュニケーション関係で解決につながることもある。

法曹関係者の1人は、「まずは簡易裁判所における調停やADR(裁判外紛争解決手続き)による解決可能性の有無を検討すべき」と述べている。

実は、騒音トラブルが深刻な訴訟に発展した場合、裁判所の判断はこれまで、受忍限度は各人の受け止め方であることを理由に「和解」を前提に原告の請求を退けるケースが多い。

被害を訴えた住民が勝訴したケースでは、騒音計を入手してデシベル数を計る、管理組合を通して全戸に生活騒音に関する書面を配布する、調停を申し立てたが相手に拒否された…など、トラブル解決への努力を最大限行っても訴訟しなければ解決しそうもない状態にあったことが勝訴の大きな要因になったようだ。

 

(大規模修繕工事新聞 2013-6.5 No.42)

 

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA