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緑と花の環境整備(1)

62-8-1近年、会社員をリタイアした住民有志により、マンション内の緑と花の環境整備を行っているケースが増えています。自主的な植栽管理は、住民間のコミュニケーションを活発にし、管理組合と自治会運営をより円滑なものにするほか、管理費の大幅な節減にも役立つものです。しかし、住民の高齢化が進行していく中で、住みよい団地・マンションにし、緑と花の環境を維持していくことは簡単なことではありません。そこで、「マンションみどりの維持管理」について、取り組み事例や植栽管理のポイント、行政の制度などを数回に分けて掲載していきます。

脚立を使わない作業が基本月4回のボランティア活動

62-8-3郊外のA団地では、「近隣の管理組合のサークル活動を見学したことをきっかけ」(住民有志)に「みどり倶楽部」を発足させました。
参加者はすべてボランティア。活動範囲は危険を伴わない作業、脚立を使わない作業を基本とし、専用庭以外の生垣(延べ約650m)の剪定、小低木(アジサイ、アベリア、サツキ、ツツジ、ハクチョウゲ等)の刈込み、一部花壇の草花の植栽手入れ、芝生地の草抜きなどを行っています。作業は月4回で毎回約10人が参加するといいます。
やりがいとしては、「環境に対して意識が高くなる」「住民に感謝されるのがうれしい」などといった声が参加者から上がっていました。
逆に「バリカンの音がうるさい」「水をまいたら、その水はだれが払うのか」など心ない住民からのクレームを聞かされることもあるそうです。
それでも管理組合から年15万円の活動補助金を承認されたサークル。年間作業計画を作成し、資金は肥料、機材などの調達に当てています。
地域の緑を守る公益財団法人に登録し、100本の苗木を貰って植樹もしました。その後のメンテナンスはみどり倶楽部の仕事です。

最後に参加者に「一番きついことは何ですか?」と聞くと、「雑草の草むしり」という答え。「しゃがんで作業をするため、とにかく腰が痛い」とか。地道な作業がやはり一番たいへんなのだということがわかりました。

○A団地の概要
竣工:1975年4月 敷地面積:約35,000㎡ 建物:11棟・444戸 棟前花壇:約1,700㎡ 中高木:約450本 低木:約430本(高さ2m以下) 駐車場他生垣:長さ約630m
○みどり倶楽部
目的:団地敷地内共用部分の植栽や花壇など手入れ等の環境整備 作業対象:専用庭以外の生垣の剪定(約650m)、棟前花壇以外の小低木の刈り込み、花壇・芝生他の整備など 作業日:月4回(第2、4火曜、第1、3土曜)
時間:夏8:30 ~ 11:30 冬9:00 ~ 12:00
会員:平成22年度登録人数は28人

◆緑の診断

62-8-4緑は生長することで生活に潤いを与えるものですが、時には生活に支障をきたすこともあります。
そこで、マンションの緑が生活に支障をきたしていないか、機能を十分に発揮しているか、健全に生長しているかなどを緑の専門家(造園コンサルタント会社や造園会社)が診断し、改善案を提案することを「緑の診断」と言います。
また、緑の診断結果をもとにして、5、10年後を見通した中長期的な管理計画や緑のリニューアルを計画します。
マンションの緑は居住者すべての共有財産であるため、緑の管理やリニューアルにあたっては、居住者相互の理解が必要です。そのためにも緑の専門家による緑の診断を適切に行うことが重要となります。
<参考> 『マンションのみどりQ&A』公益財団法人 都市緑化技術開発機構☎03-5256-7161 //urbangreen.or.jp

(大規模修繕工事新聞 No.62)


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