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マンション総合保険、瑕疵保険、工事保険の違い

73-16-01-18●事故の早急な復旧のためにも
保険契約者はだれかに着目!

マンション管理組合に関する保険には、①「マンション総合保険」、②「瑕疵保険」、③「工事(PL)保険」に分けることができます。
①マンション総合保険
マンション用の住宅火災保険である「マンション総合保険」(マンション管理組合用火災保険)は、マンションで火災、爆発等、偶発的な事故が発生した場合の損害保険です。
建物の不具合においては水漏れ、雨漏り、外壁落下などの事故が多く、それらに対する補償(復旧にかかる費用の調達)が目的となります。あくまで偶発的事故が補償対象で、老朽化や経年劣化は対象外。保険加入者は管理組合です。
管理組合向けには、マンション総合保険の他、特約として施設賠償責任、個人賠償責任、また地震保険があります。

②瑕疵保険
瑕疵保険による「建物の損害」とは、工事請負契約で約束した工事品質が損なわれること(=瑕疵)をいいます。
大切な資産である建物の資産価値が損なわれた上、工事会社とのトラブルとなり、管理組合の費用負担で補修等を強いられるケースがあります。こうしたケースを保険で防ぐことが目的です。
しかし新築住宅と異なり、中古住宅のリフォーム工事、大規模修繕工事では、建築確認申請が不要のため、任意加入となります。
さらに、瑕疵の補修費等は保険金として工事会社が受け取るため、保険契約者は工事会社です。
発注者(管理組合等)からの働きかけがなければ瑕疵保険への加入は進まず、発注者の不安定な状態が今後も続いていくといえます。

③工事保険
工事中に第三者にケガをさせてしまった、塗装中に隣家や車に塗料を飛散させてしまった場合、その治療費や塗料のついてしまった部分の補修費を補償するのが請負者賠償責任保険です。
請け負った工事が原因で雨漏りが発生して住宅内を汚損させたり、外壁落下により自動車を破損させてしまったり、人にケガをさせてしまった場合、住宅内の内装補修費、自動車修理費、人のケガの治療費などを補償するのが生産物賠償責任保険(PL保険)といいます。
原因部分(工事会社の自社施工部分)を補修する費用は対象外です。被害者に対する損害賠償責任が目的のため、保険加入者は工事会社となります。

73-16-01-19 図のように、タイルが剥落した事故例においても、偶発的な発生なのか、施工ミスなのかによって保険の補償対象が異なります。
事故の原因はさまざまでも、あらかじめ事後対応をきちんとしていれば、復旧工事の費用も早く調達でき、安心した生活が送れると考えられます。(大規模修繕工事新聞 2016-01 No.73)


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