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専有配管の工事急増、調査の重要性大

給 水 管 改 修 最 新 事 情
専有配管の工事急増、調査の重要性大

漏水トラブルの当座対応で選択
10年後に給水・給湯・排水管の一斉取り替え

専有部分内の立ち入り調査
専有部分内の立ち入り調査

近年マンションの給・排水管改修工事における工法について、「弊社の実績では、およそ80%が更新(管の交換)ですが、残り20%は更生(ライニング等)が占めています」というのは京浜管鉄株式会社の平松拓也社長。
現在、ライニング更生工事で受ける工事の多くは排水管系統。給水管は管材がビニール系やポリエチレン系となり、白ガス管の赤水対策で主役となったライニング更生工事は、その必要性が薄れてきている。
しかし、それでも給水管のライニング更生工事のニーズは残っていて、管理組合から指名を受けているケースも珍しくないという。
その大きな理由として平松社長は、「共用部分と専有部分の配管工事を同時に行うケースが急増しているのですが、専有部分の工事を管理組合が行うことに対する合意形成に時間がかかり、とりあえずライニング更生工事で時期を見直そうという結論にいたる管理組合が多いようです」と話す。もちろん、築年が古く管材に鋼管を使っているケースで、だ。
ライニング更生工事も専有部分に関する工事をすることに変わりはないが、更新より廉価である、住戸への立ち入りが短い、壁・床をはつる工事をしない(騒音がでない)など、ライニング更生工事のメリットによって、更新工事より住民の合意形成を得やすくなるという。
「これからきちんとした修繕計画・資金計画を立てて、10年後に給水・給湯・排水管の一斉取り替えを行う予定を立てる。
そのために当座の問題点である給水管の漏水トラブル対応のためにライニング更生工事を選択する」―そんな結論を出す管理組合は少なくないようだ。

難しいのは住戸内への立ち入り
不明な過去のリフォーム履歴

パイプスペース内をはつっている様子
パイプスペース内をはつっている様子

とはいえ、必ず住戸内に立ち入りする専有部分の工事は給水管・排水管ともに難しい。
一番の原因は、築年の古いマンションになるほど、専有部分リフォームの実施率が上がっていることである。ただし一般的にマンション管理に精通していないリフォーム会社は、書類(図面や写真等)を残していないケースが多い。見積もりについても「一式」という表記で、使用した材料などが不明のケースもある。
つまり、過去の不明なリフォーム履歴を確かめるには、まずはリフォーム実績があるかどうかを確かめ、ある場合はどこをどう直したのか確認する必要がある。
しかし、リフォームした所有者と現在の所有者が変わっている場合も少なくない。
このため、管理組合で専有部分を含めて工事を行う場合は、全住戸の現状を確認・把握する調査の重要性が非常に大きい。
全住戸を回ったところで、工事実施の承認が議案の総会や住民工事説明会にも参加しない住戸も多く、全住戸への確認作業時に工事会社の担当者が改めて最初から工事の説明をすることもある。
「配管ルートは床下など隠れている場所を通っているので、調査をしないと何もわかりません。現状確認のためにも各住戸ともお話しをさせていただき、それを管理組合にフィードバックしてはじめて工事へと進むことができるのです」と平松社長。

施工は1日で完了、夕方に通水
防水塗膜も安全「NPBラピッド工法

床を剥いでみないと配管ルー トがわからないケースが多い
床を剥いでみないと配管ルー
トがわからないケースが多い

ライニング更生工事のメリットは、更新工事よりも費用が安い、住戸内への立ち入り期間が短いとこにある。
京浜管鉄株式会社は平成22年8月30日、これまでの実績を踏まえてライニング更生工事の工法元となり、24年10月1日には新たな給水管更生技術である「NPBラピッド工法」について一般財団法人建築保全センターの審査証明を取得した。
「NPBラピッド工法」の特徴は3つ。
⑴ 工事による在宅のお願いはわずか1日
⑵ 管の中に均一に塗布した防錆塗膜を温風・温水のダブル加熱で完全硬化
⑶仮設工事が不要なために廃材が減少
施工が1日で完了し夕方には通水できる、防水塗膜は安全で水に影響を与えないなど、専有部分の更新について話し合いをしている管理組合にとって、ライニング更新工事は今もなお検討材料のひとつになるといえるであろう。

(大規模修繕工事新聞 2013-10.5 No.46)

 


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