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日本マンション学会名古屋大会 見学会

36年目に自主管理へ移行
以来、組合主導の管理運営へ

 日本マンション学会は4月23日、椙山女学園大学でのシンポジウム、分科会報告の後、名古屋市千種区のパラシオン覚王山、メゾン千種で見学会を行いました。
名古屋市千種区の覚王山は住宅地として人気が高い地区で、ここで紹介するメゾン千種は地下鉄覚王山駅徒歩4分に立地します。1972年竣工で現在、築45年。約36年の委託管理を経て、2008年から自主管理へ移行しました。
これまで4回の大規模修繕工事や給排水管工事を実施し、2017年の今年、耐震補強工事の実施を予定しています。

メゾン千種の軌跡

1972年 ・竣工
2008年 ・修繕委員会を発足
・委託管理から自主管理へ移行
・規約委員会を発足。中部マンション管理組合協議会にコンサルタントを依頼し、規約改正を開始
2009年 ・建物劣化診断、耐震診断を実施
・長期修繕計画を策定
・修繕積立金値上げ
2010年 ・耐震補強工事、給水管更新工事について総会で全員の合意を得る
2011年 ・4回目の大規模修繕工事(外壁及び屋上防水等)を実施
2013年 ・管理規約の改正が総会で承認される
2014年 ・給水方式の変更、給水管更新工事を実施
2015年 ・耐震補強工事を進めていくことを再び総会で決議


耐震補強工事の検討

 耐震補強工法については2009年から具体的に方法の検討を行ってきました。
建物全体の安全基準を満たすには工費や施工方法など課題が多く、そのためピロティ階の不安解消を最優先順位として実施することに決定。その上で、他階においてはIs値0.3未満の階をなくすことを検討したといいます

 

マンションデータ
建物概要/1971(昭和46)年竣工・RC造・地下1階、地上6階建・1棟・28戸
附属施設/地下駐車場7台、トランクルーム11戸分
敷地面積/876.04㎡
建築面積/348.08㎡
専有部分延床面積/2,467.85㎡
共有部分延床面積/358.18㎡
バルコニー延床面積/165.19㎡
管理費/月額8,500円(一律)
修繕積立金/㎡当たり月額約330円(専有部分の広さによって異なる)
管理形態/2008(平成20)年から自主管理

日本マンション学会のメン バーが見学。管理組合役員な どから話を聞く

耐震化を検討している地下の 駐車場

ABCDのどのパターンを目指すべきかについて、2015年の総会で討論をした結果、Bパターンでほぼ全員が一致。快適性にかけるコストは極力抑えて、安全で「100年マンション」を目指す考えでまとまりました。
ところが、名古屋市の耐震補強基準(Is値0.6以上)を上回るハイレベルな補強は1億円以上かかることが分かり、Bパターンを断念。管理組合として捻出できる金額で震災に耐えうる補強策はないかと建築士に打診した結果、一番弱いピロティの補強(耐震壁の設置)に加え、一部住戸内にも耐震スリットや炭素繊維巻を取り入れる方法の提案を受けました。
人命を守る程度の耐震補強としてC,Dパターンを選択し、万全ではないが高い確率で震災に耐え抜くことが出来る方法を検討しているといいます。
2017年5月現在、3月末に名古屋市が耐震補強工事の段階的実施における補助金制度をスタートさせることとしため、補助金申請に向けて準備を進めています。
また、建物の補強だけでなく有事に備えるため、住民の防災意識を高めるため、近く新設予定の集会所を起点に防災会議、防災訓練、防災マニュアルの作成の準備を行っています。
(大規模修繕工事新聞91号)

直結増圧方式への変更により、新設した給水管