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Q46 組合主導の専有配管工事に関する判決例は?

 築40年になり、毎年漏水事故が多くなってきたため、管理組合主導で共用部分とともに専有部分の給排水管も更新することになりました。
 ところが、100戸のうち、2戸だけ専有部分の工事に修繕積立金を取り崩すのはおかしいと反対し、裁判に発展しそうな感じです。
理事会としては専有部分の配管工事を住戸任せにしておいた場合、ほとんどの住戸で工事を行わず、漏水事故の悩みは永遠に解決できないと考えています。
関連した判決例があれば教えてください。

 近時の判決例を紹介
管理組合の計画的な対応が重要

近時の判決例を紹介します。

平成29年1月30日東京高裁判決
管理組合では共用部分の給排水管更新に加え、各戸の浴槽、給湯器、洗面化粧台、トイレ、洗濯パンについても修繕積立金を使用して更新する計画を立てた。これに反対する区分所有者が提訴した事案。判決では「区分所有法には修繕積立金を専有部分改修に使用してはならない旨の規定はない」とし、原告区分所有者の訴えを退けた。現在、上告中。

管理組合では臨時総会で管理規約を改正。「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分及び共用部分の管理上影響を及ぼす部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」という規定を新設しました。
とはいえ、専有部分の配管ならともかく、浴槽、給湯器、洗面化粧台等まで修繕積立金を使用するのは行き過ぎだという区分所有者の主張です。
そもそも配管類については本管と枝管が構造上一体となっていため、その管理については管理組合が共用部分である本管と枝管一体の工事をしたほうが効率的と思われます。浴槽、給湯器、洗面化粧台等の話ではないでしょう。
配管に限った工事においても、①専有配管工事に関わる管理規約の改正を行う(修繕積立金の取り崩し等を含む)②専有配管工事を長期修繕計画に位置づける③住民説明に関しては十分な準備・広報を繰り返すことが必要です