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Q47 賃貸化増え、組合員間に労力差。解消方法は?

Q47 賃貸化増え、組合員間に労力差。解消方法は?

 うちのマンションの理事会は輪番制で役員を行うこと になっていますが、近年、住戸を賃貸に出し、組合員は 遠隔地に居住するケースが増えてきました。また、病気 や仕事(海外出張など)の理由から役員を引き受けるこ とができない住戸も増えています。  これでは役員になる住戸が偏り、時間や労力を使って 管理組合運営に関わる組合員と、まったく関わらない組 合員との間で、感情的な差が生じてきてしまいます。組 合員間の不公平を解消するような方法はありますか?

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役員報酬や管理協力金の方法あり 不在組合員2,500円徴収の判例も

同じ建物を区分所有しているわけですから、在住組合 員も不在組合員も同じ負担や責任があって当然と考える のは普通でしょう。このため、役員報酬を設定したり、 役員を引き受けない組合員に対して管理協力金を徴収す るなど、不公平感を解消している管理組合もあります。  住民活動協力金を認めた最高裁判決(平成22年1月26 日)を紹介します。  当該マンションでは、総戸数868戸のうち180戸で賃貸 化したため、不在組合員に対してのみ、月額5,000円の協 力金を求める管理規約改正決議を可決しました。その後、 不在組合員から徴収する金額は「住民活動協力金」とい う名称で月額2,500円に設定変更がされていました。  ただし、このように一部の組合員から特別に金額を徴 収するという管理規約の改正は、区分所有法第66条(建 物の区分所有に関する規定の準用)および第31条(規約 の設定、変更および廃止)第1項後段の「一部の区分所 有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾 を得なければならない」場合に当たります。このため、「不 在組合員の同意なくしては認められない」として、規約 改正を認めず、支払いを拒否する組合員があらわれまし た。  事件は訴訟になり、最高裁は「本件規約変更により、 不在区分所有者が受ける不利益は、月額2,500円の負担で あり、在住組合員の負担する組合費に対し、不在組合員 は15%増しに過ぎない」と金額の相当性を評価。不利益 を受ける180戸の不在組合員のうち、反対者は12戸を所有 する5人に過ぎない(ほとんどの不在組合員が月額2,500 円の負担に納得している)ことから、特別の影響を及ぼ す場合にも当たらないと判断しました。  とはいえ、これから住民活動協力金、管理協力金等、 一定の金額負担を採用する場合には、金額の設定などに ついて十分に検討し、慎重に決めることが大切です。 <参考:横浜市発行『マンション管理・再生の手引き』>

(大規模修繕工事新聞 第92号)


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