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 File Data. 109 東京・荒川区/トキアス管理組 大規模修繕工事

 アフターサービス前に修繕個所発見

11年、早めの大規模修繕実施を決断

竣工後10年のアフターサービス保証が切れる前に建物診断を実施する必要から、その延長で大規模修繕工事の検討がはじまった。
築9年、建物診断の1年前に一般応募3人、担当理事2人の修繕委員会を発足。コンサルタント会社による建物診断の結果、外壁タイルの浮きや塗装、コンクリートの劣化など、修繕したほうがよい多数の個所が発見された。
アフターサービスで分譲会社が修繕を行う部位もあり、築11年目での早めの大規模修繕工事の実施を決断した。
施工業者の選定は、業界紙に掲載した公募で集まった17社を書類審査で10社に絞り、見積依頼で4社、さらにプレゼン、ヒアリングで2社に絞り、最終的な見積額の提示で日装に決まった。
日装は統括現場代理人のほか、住居棟4棟にそれぞれ4人の責任の現場代理人を置くことを提案。中に女性の担当も入れ、主婦だけの日中など住戸内に入りやすい環境づくりも提示した。
実際の工事では、敷地内の植裁や歩道の形状から、現場事務所が立てにくく、仮設計画が難航した。プレハブの現場事務所等はどうしても四角い形状で、立地スペースの確保が難しい。そこで歩道や植裁部分を借用して通路を設置。作業員の移動も施工性を高めるために重要なことなので、理事会、修繕委員会にも理解してもらったという。
次に、タイルの浮きや劣化が予想よりもはるかに上回ることが判明。当初、それでも多めの16万枚の貼り替え予定していたが、さらに5万枚の追加が生じた。
着工前に用意したタイルに5万枚もの不足である。タイルの追加についても見本焼から本生産への工程があり、数カ月の時間を要する。
このため、施工方法の検討や工程の調整が必要になり、当初は竣工が2カ月遅れる見通しになった。
こうした予期せぬ状況は現場代理人の工程管理の腕の見せ所だ。作業工程順序の変更、作業員の増員を行うなど、工期短縮を図り、なんとか40日延期で工事の進捗が可能に。すでに理事会の承認も得て、9月中旬の竣工、引渡しを目指している。
統括現場代理人は「620戸もある大規模マンションですが、理事会や修繕委員の方が住民対応にも協力していただき、そうした面でタイルの問題以外に工事に支障が出ることはありませんでした」と話している。
(大規模修繕工事新聞94号)

 クレーンを使って大組み足場を組み立て・設置

工事データ

○工事名/トキアス大規模修繕工事 
○建物概要/2005(平成17)年竣工・SRC造・地上20階・4棟+付属棟・620戸 
○発注者/トキアス管理組合  
○施工者/(株)日装
○主な工事内容
・共通仮設/現場事務所、仮設トイレ、作業員休憩所、資材置場、廃材置場等
・足場仮設/鋼製枠組み足場、メッシュシート養生、落下物防止養生等
・下地補修/タイル・躯体(建物の天井、壁のコンクリート部)のひび割れや爆裂、モルタルの浮き等、タイル部分の薬品洗浄、塗装部分の高圧洗浄等
・外壁塗装/壁面、天井等
・鉄部塗装/鋼製建具や扉(劣化が進行している個所)等
・防水/屋上・屋根、ルーフバルコニー床
・シーリング/窓まわり等
・その他/サッシ・ガラス・玄関ポーチ扉クリーニング、共用棟各室内装リフォーム等
○工事期間/2016年9月5日~2017年9月15日

施工者:株式会社 日装
■本社
〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-12 住友不動産新宿御苑ビル
でんわ03-3354-4191
代表者:小川隆幸 創業:1959年(昭和34年)
資本金:1億円
//www.nisso-x.co.jp

 バルコニー側には通風性、採光性、透視性が高く、なおかつ軽量な最新のクリアメッシュシートを採用
 高層(20階建て)への足場設置のため、地盤を転圧
 朝礼風景。工事が重なる時期には100人を超えることも

 建物の立地状況から現場事務所設置の際、歩道や植裁部分を借用して通路を設置

全建センターが窓口となる外国人技能実習制度を活用し、受け入れたミャンマー人の実習生も作業員としてりっぱに活躍している

 足場設置後、タイルの調査では設計時より劣化が多くみられた
 タイル浮き部を撤去作業中
 外壁タイルは3種類。タイルの焼き直しに時間がかかる