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Q53 住民からの度重なる質問、どう対応すればいいの?

Q53 住民からの度重なる質問、どう対応すればいいの?

輪番制で理事になり、互選で理事長を受けました。
そうしたら、ある時、ある住民(組合員)から直接、自宅に質問状が届き、「文書で回答せよ」と書かれていました。
また、電話でも、質問というより、延々とクレームを言われることがあります。
理事長といっても、管理組合運営についてはよくわかりません。どうすればよいでしょうか。

ベストアンサーに選ばれた回答

理事長は住民への報告義務なし
書類閲覧等、規約への明文化を推奨

理事長は、取り扱う業務について、総会で報告する義務はありますが、住民に直接知らせる義務はありません。
その根拠に平成4年5月22日の東京地裁判決(判例時報1448号)があります。
区分所有法上の管理者である理事長は、総会で選任された理事数名の中から互選によって選出されたものに過ぎず、個々の区分所有者から直接、管理者になることを委任されたものではないから、個々の区分所有者の受任者であるとみることはできないというわけです。
これにより、管理業務に支障を来すほどの執拗な問い合わせや苦情について、理事長が個別に直接回答する必要がないことが明らかになりました。
同じような内容の訴訟では、平成13年10月の東京地裁判決でも原告の住民が敗訴しました。法務省も「理事長は個々の区分所有者は個々の区分所有者の受任者ではないので、総会報告でよい」との見解を示しました。
ところが、平成28年12月9日大阪高裁で、住民が会計書類等の組合資料の閲覧、組合員名簿の写真撮影を認める判決例が出ました。このマンションでは日常管理や修繕工事において、理事会の組合運営に不信感を抱いたことには相応の理由があったと判断されました。
クレーマー的な住民がいる一方、理事会側に問題がある場合もあります。どこまで報告義務があるかどうか、管理組合が管理している書類を重要性(プライバシーなど)に照らして分類し、管理規約に明文化することを推奨します。
<参考>NPO福岡マンション管理組合連合会・創立30周年記念誌『管理組合読本』
(大規模修繕工事新聞98号)


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