1回目の工事で屋上緑化を撤去
25年保証の超耐久性防水シートを設置
閑静な住宅街に立地し、屋上緑化が施されるなど、住 環境に配慮した設備・仕様で造られたマンションである。
屋上緑化は景観の良さに加え、建物の断熱性の向上に より、夏の強い日差しを防いでヒートアイランド現象へ の対策にもなっていた。
一方で、一部の植栽が枯れてしまうなど、メンテナン スがたいへんなマイナス効果もあった。管理組合では、 修繕委員会を設けて検討を重ね、費用をかけて修復する よりは1回目の大規模修繕工事で撤去してしまったほうが よいという結論に至る。
とはいえ、屋上にある60㎥の土の撤去だけでも相当な 費用がかかる。土は建設発生土として産業廃棄物として 処分しなければならない。
そこでコンサルタント等の助言をもとに、25年防水保 証のある「POLYFIN(ポリフィン)機械固定工法」の採用を決めた。25年保証があることで、次回の大規模修繕 工事で屋上防水工事をやる必要がなくなり、その分の費 用を発生土の撤去に回そうという判断である。
「POLYFIN(ポリフィン)」とは、紫外線、熱、水の影 響を受けないポリオレフィン樹脂から作られた超耐久性 防水シートで、このため25年間の防水保証をつけること ができるという。
また、「POLYFIN(ポリフィン)」を構成するポリオレフィ ン樹脂は、スーパーマーケットで食品を包装している袋 やラップなどに使用され、酸やアルカリに強く全く毒性 がないため広く食品、医療、化学分野で利用されている もの。ポリオレフィン防水シートは主にヨーロッパで広 く流通しており、日本では東京湾アクアラインのトンネルの防水にも利用されている。
発生土の撤去作業は土のうに詰め、ひとつずつ足場に 設置した作業用昇降リフトで下した。わずかな人数で荷 揚げ・荷下げができるリフトは土のうのほか、塗材や建 材の上げ下げにも利用でき、施工効率が上がったという。
取材時は工事もあと1カ月を残し終盤。修繕委員会を中心に管理組合、各住戸の住民も協力的で「スムーズに 工事が進みました」と現場代理人。バルコニーでの作業 の最後にサッシの清掃・クリーニングを行うと、「大規模 修繕工事はここまでやってくれるの?」と主婦層から好 評価の声が聞こえたと話している。大規模修繕工事新聞(100号)
廊下側も吹き抜けで足場を設置した様子を説明
工事データ
○工事名/ Gマンション大規模改修工事
○建物概要/ 2005(平成17)年1月年竣工・RC造・地上5階建て・1棟・ 89戸
○発注者/ Gマンション管理組合 ○設計・監理者 /㈱日鉄コミュニティ
○施工者/㈱カシワバラ・コーポ レーション
○主な工事内容 共通仮設/ 現場事務所、作業員詰所、資材倉庫、仮設トイレ・ 手洗い場、廃材コンテナ等 直接仮設/ 鋼製クサビ足場、飛散防止メッシュシート、鋼 製朝顔頭上養生等 下地補修/ タイル壁面、塗装壁面のひび割れ・浮き部の補 修等 シーリング/サッシまわりのシールの新規打ち替え等 洗浄/外壁タイル面・塗装面の高圧洗浄 外壁塗装/外壁、天井等 鉄部塗装/玄関扉枠、メーターボックス扉等 防水/ バルコニー・共用廊下:側溝部・ウレタン塗膜防水 +床面・防滑性ビニール床シート防水 屋上:POLYFIN機械固定工法 その他/ EV扉・籠内内装交換、ごみ置き場通路庇新設、 エントランス自動ドア新設等 ○工事期間/ 2017年11月~ 2018年4月(予定)
設計・監理者:株式会社日鉄コミュニティ
■本社 〒101−0032 東京都千代田区岩本町3−2−4岩本町ビル ☎0120−24−1305 代表者:赤井直也 創業:1974年(昭和49年)5月 資本金:1億円
//www.ns-community.jp
施工者:株式会社カシワバラ・コーポレーション
■本社 〒108−0075 東京都港区港南1−8−27日新ビル9F ☎03−5479−1402
■南関東営業所 〒210−0834 川崎市川崎区大島3−36−7 ☎044−211−1613 代表者:柏原伸介 創業:1949年(昭和24年)3月 資本金:2億5,010万円
//www.kashiwabara.co.jp