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合意形成を進めるために

合意形成を進めるために

~情報公開と民主主義~

NPO日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2018年7月5日付第430号「論談」より


◇三本の矢
マンションの管理を円滑に進める上で、委託管理の場合にせよ、自主管理の場合にせよ、組合員の間での合意形成が決定的に重要である。
毛利元就の三本の矢の故事を引用するまでもなく、構成メンバーの意思がひとつにまとまっていることほど強いものはない。
どのようにしてマンション管理組合内の合意形成を進めたらよいかの基本を改めてみておきたい。
◇情報公開
まず、理事会が考えていることや管理会社から示された提案やニュースなどの情報を、できるだけ詳しく正確に組合員に知らせることである。
この部分は都合が悪いから発表しないでおこうなどと考えると結局は「決議の改ざん」みたいなことになりかねない。
いいことも悪いことも管理組合ニュースや理事会報告など種々の伝達手段を活用して伝える。こういう理事会の姿勢がみんなでものを考える前提となる。
◇双方向で
管理組合では理事会が業務方針や実施計画を作成するのは出発点であって、最終的には総会で組合員による決議を受けて実行される。
いくら優れた良い提案だったとしても、理事会が高い立場から組合員を説得するというようなものではない。
あくまでも組合員全員が対等の立場で意見を出し合い、その上で本当の合意形成ができあがるのである。
理事会には虚心に組合員の意見を聞き、汲みあげる努力が求められる。
◇民主主義
民主主義は多数決であると単純化してしまうのは不正確である。
結論に達する前に、必ず討議が必要である。本当の合意形成は、いろいろな意見をそれぞれの根拠を含めて議論し、説得し合って、意見がまとまっていくものだと考えられる。
区分所有法は、集会で基本的な方針を決めるという直接民主主義の方式を基本としている。
これを生かして、それぞれの管理組合で合意形成を一層進めるようにしたいものである。
(NPO日住協論説委員会)

(大規模修繕工事新聞104号)