「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。首都圏、関西圏の約30,000の管理組合に直接、無料で発送しています。また、同じ内容のメルマガ版は登録いただいた方に無料配信しています。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」の過去から現在に至るまで、全ての記事を収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を左下の検索窓からキーワードを入れるだけで必要な情報を得ることができます。

マンション設備の改修 <解説と事例> 給水:貯水槽について

 日本初の近代水道は1887年(明治20年)、英国人技師に よりはじまりました。その時の技術の主流が貯水槽方式 であり、日本の水道事業は貯水槽が必要な方式を長年用 いてきたのでした。  集合住宅が普及してきた1960年代中ごろ、同時に一体 型FRP製貯水層(工場で完成品とする)も徐々に普及し はじめました。 ※FRP(繊維強化プラスチック):ガラス繊維などの繊維 をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材 料。この錆びないプラスチックのパネルを現場で組み 立てて水槽を作るという発想は、日本のプラスチック 加工メーカーの技術者が昭和30年代に発想し、開発し たもの。日本発の技術といえる。  1975年、旧建設省告示第1597号で、貯水槽は6面点検 ができる構造でなければならないことが義務つけられま した。また1982年には、旧建設省、財団法人日本建築セ ンターが「給排水設備技術基準・同解説」を発行しました。  ここから現場で組み立てるパネル型のFRP製貯水槽が 急速に普及。RC製の水槽が一気になくなりました。  FRP製パネルは軽量、安価、耐食、耐久、耐力等に優れ、 現場への搬入および組み立てが簡易ということから、現在でも貯水槽の約9割でFRPパネル組立型水槽が使用さ れています。  FRP製パネル水槽の構造は、FRP製のパネル、パネル 接合ボルト、パネル接合パッキン、鋼製架台、鋼製天井 梁材、鋼製補強柱で構成。部品点数が多く、プロでない とどれがどこに使われている部品なのか全くわからない ことがあります。  また、なぜこのボルトがこの寸法でこの形状なのかも、 プロでないと理解できない要因です。  従って、よくわかっていない業者に補修を頼むと、間 違ったボルトや部品の使い方をしてしまい、大きな事故 (場合によっては死亡事故)につながる可能性があるとい えます。  貯水槽の補修は専門業者、できればメーカー系に頼む のが間違いありません。  とはいえ、日本発の技術であるFRPパネル組立型水槽 も、直結増圧化の規制緩和により、貯水槽の撤去が増え ています。  一部の管理組合では防災用に受水槽を残しているマン ションもありますが、その役目は集合住宅では終わりつ つあるのかもしれません。

(大規模修繕工事新聞 107号)

FRP製の水槽

FRP製水槽の内部

東日本大震災により破損したFRPパネル


ツールバーへスキップ