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「マンション管理運営相談」ペットにドーベルマン!?

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ペットにドーベルマン!?住民に咬みついた事件のその後は?

有名タレント夫妻が飼育していたドーベルマンが同じマンションの住民に噛みつき、それが原因で住民が転居したとして不動産会社が夫妻に賠償を求めた訴訟の控訴審で10月10日、東京高裁が1審の賠償命令額385万円を大幅に増やし、1,725万円の支払いを命じた。
マンションの専有部分の賃借人側の居住者がマンション内を通行中、他の専有部分の賃借人側の居住者の飼育に係るドーベルマンに咬まれ、負傷し、賃借人が退去した場合において、飼育者の被害者側の賃借人に対する間接損害である賃料収入の逸失利益につき、損害賠償責任が肯定された事例<判例時報2197号>
【事件の概要】
・ マンションは全7戸。全戸が投資目的の分譲マンションで、賃貸料は175万円
・ タレント夫妻と同じフロアに住んでいた住民の妻が2011年5月、マンション内で夫妻が飼育していたドーベルマンに咬まれ、全治11日間のケガを負った
・ マンションの規則では室内で飼える小動物以外の飼育を禁止している
・ 夫妻と住民との間では示談が成立したが、その後も現場を通るたびに気分が悪くなるため、住民は転居した
・ 住民の転居により、途中解約された不動産会社が今後発生したであろう賃料5,225万円を損害として求めた
・ 1審の東京地裁は5月14日、夫妻に385万円の賠償を命じる判決を下した(転居した住民に不動産会社が求めなかった、途中解約の賃料2カ月分の違約金350万円と弁護士費用)

【高裁の判断】
賃借人の自己都合による解約と同視することは相当ではなく、本件事故により通常生ずべき通常賃料相当額の損害が生じたものと解することが公平の理念にかなうというべきであるとして、原審判決の賠償命令額385万円を1,725万円とした
【解 説】
実際ドーベルマンに咬まれた住民とは示談が成立し、訴えを起こした不動産会社は『間接的な被害者』である。
このため訴えた理由は、当然発生するであろう賃料が事件によって被害者が転居したために入って来なかった損害賠償額の
請求であった。
一般のマンション管理組合がこの判例を参考にするケースはあまり考えられないが、「室内で飼える小動物以外の飼育を禁止している」というマンションの規則を守らないで起こった大型犬による事件として、ペット飼育に関するルールの徹底化を考えさせられる。
「ペット飼育禁止」というルールがあるマンションでも10%の住戸でこっそり飼っている状況のようだ。
ペットに関しては「犬の咬みつき」以外にも、エレベーター内やベランダに犬猫の毛がつく、動物アレルギーがあるなどの
苦情があり、共同住宅の住民という意識があれば、ルールを守らなければいけないのは当然。どうしても飼いたい人は、ペット可のマンションへ引っ越すべきである。

(大規模修繕工事新聞 2014-1.5 No.49)


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