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法面、雁行、吹き抜け... 仮設足場に苦労した丘の上のマンション

法面、雁行、吹き抜け... 仮設足場に苦労した丘の上のマンション

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見晴らしの良い丘の上に立つ大手不動産業者の高級マンションブランド。しかし、改修工事を行うには厳しい立地条件であった。
建物が丘の上に立っており、さらに法面(のりめん=切土や盛土により作られる人工的な斜面)、建物形態も雁行式という環境である。建物の前面道路が1車線で狭く、車の通行も不自由。要するに最も大きな問題は仮設足場の設置、工事車両の出し入れだった。
58-02-2足場を設置する敷地が狭く、建物の形状が複雑である場合に用いられる部材がユニット化されておりハンマー1本で組立ができるくさび緊結式足場(ビケ足場)を採用した。
駐輪場は丘を掘って地下に建物を立てた際の、建物と丘の間に作った空間(ドライエリア)に3カ所ある。また、建物内に吹き抜け部分が1カ所あり、地下駐車場の車両通行を妨げないよう、駐車・駐輪場のどちらも足場の足を地面に着かないように仮設する必要があった。
駐輪場はアンカーブラケット、駐車場にはベランダーキャッチャーを採用するなど、とにかく仮設足場への工夫が最重要課題であった。こうした既設建物の状況に合わせた足場の設置アイデアを持ち合わせていることなどは、修繕専門工事業者が新築を手がける業者と差別化できる長所と言っていいだろう。
また、今年の冬は近年類を見ないドカ雪が2回も降り、積雪が溶けるのに1週間もかかった。塗料など5℃以下では乾燥がしにくいといった理由で使用できず、そもそも積雪が邪魔をして作業の進行が遅れる原因となった。
さらに管理組合との話し合いで年末・年始休暇は2週間と設定。休暇期間は養生ネットを折りたたみ、ベランダに開放感を持たせたが、同時に防犯対策も考慮。毎日警備員がランダムに巡回することも契約項目に入れた。
こうして特例的な現場ではあったが、管理組合と工事業者とのコミュニケーションが非常にうまくいき、竣工後は管理組合が主催の竣工慰労会を開いた。管理組合から感謝状をもらったり、手作りのくす玉などで慰労してもらった現場代理人の武吉栄泉さんは「竣工時には工事に対するアンケートハガキを配布させていただくのですが、『ご苦労さまでした』『キレイになって嬉しい』などのお褒めのお言葉をいただきました。こうした
言葉は現場代理人冥利に尽きるというもので、工事中の苦労も一気に吹き飛びました」と話している。
(大規模修繕工事新聞 No.58)

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