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高経年マンションの管理運営のこれから

58-09-1

NPO日住協(日本住宅管理組合協議会)は10月24日、日比谷図書館コンベンション大ホールで設立45周年記念シンポジウム「築30年、100万戸時代-高経年マンションの新たな管理の方向を考える」を開催します。
区分所有法の第一人者である鎌野邦樹・早稲田大学法科大学院教授が「これからのマンションの管理と再生」をテーマに基調講演を行い、続いて小林秀樹・日本マンション学会会長(千葉大学教授)と鎌野教授、そしてNPO日住協の管理組合理事などがパネリストとなって、高経年マンションの管理のこれからについて論議を深めます。
シンポジウムは、高経年マンションの関係者だけでなく、築年数の浅いマンションにとっても、先輩マンションの経験、知見を学ぶ絶好の機会となるといえるでしょう。
☆☆☆
鎌野教授は、昨年秋に発売された書籍『新・マンション管理の実務と法律』(斉藤広子明海大学教授、篠原みち子弁護士と共著)の中で管理組合の経営的管理を提唱しています。
特に、経年マンションや団地にとって、管理費や修繕積立金の財源に加え、共用部分や共有敷地を活用して新たな資金を獲得する資金獲得業務、さらにより積極的な活用として高齢の区分所有者等に対する福利厚生サービス等を目的とする共益的施設の設置といった共益的活用業務を説いています。
また、管理組合の業務として、マンション管理に随伴するものとして、区分所有者に対する諸々の生活上のサービス業務を展開する生活サービス業務が考えられるとしています。
☆☆
一方、小林会長は、日本マンション学会誌の第48号の論文「住環境形成における管理組合の役割を積極的に位置づける」で、次のような提案をしています。
「人口減少を背景に住宅需要が減退する中で、マンションの資産価値を維持するためには、管理組合にとって住環境の魅力を高めるような活動を行う必要が高まる。団地内に各種施設を誘致する、コンビニや宅配サービスを導入するなどである。さらに、共用部分のバリアフリー化やインターネット回線の導入も求められる」。
このようにマンションの居住・資産価値を維持するために、通常の維持管理に加えて、現状の変更を行うような活動を進めることを「運営管理」と称したいとしています。
☆☆
シンポジウムでは、NPO日住協の管理組合役員も参加し、高経年マンションにとって深刻化する役員のなり手不足をどう解決しようとしているかなどの事例を報告します。また、高経年になると管理組合と自治会の路線が分かれるケースもみられますが、どう解決したかなどの経験談を話す予定です。
20年も前から管理組合と自治会が一体化、理事長は自治会長を兼ねる管理組合。一体化はしていないが、管理組合と協調路線を敷き、一人の自治会退会者を出さない、といった事例紹介も行います。
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NPO日住協は、マンション管理組合団体として国内で最初に設立しましたが、築30年以上の高経年マンションが会員の半数以上を数え、高経年マンションが直面する諸問題を丸ごと抱え込んでいます。建物の老朽化と住民の老齢化、バリアフリー化、コミュニティの活性化などへの挑戦で、高齢化の荒波を乗り越えようとしているのです。
45年前、高度成長経済の時代の真っ最中にNPO日住協は誕生しましたが、地方からの働き手の受け皿として首都圏には、日本住宅公団(当時)の団地が次々と開発された時期でもありました。
団地ができて管理組合が結成され、NPO日住協には連帯感を求める唯一の受け皿として、1989年には182組合68,351戸と戸数ではピークを記録。500戸を超える団地が多く、1,500戸というマンモス団地も加入しました。
<開催要項>
日  時:平成26年10月24日㈮午後1時30分~4時30分
会  場:日比谷図書館コンベンション(大ホール)
基調講演:鎌野邦樹氏(早稲田大学法科大学院教授)
演  題:「これからのマンションの管理と再生」
パネルディスカッション:
「高経年マンションの新たな管理の方向を考える」
パネリスト:
鎌野邦樹氏(早稲田大学法科大学院教授)、小林秀樹氏(日本マンション学会会長)、大石和夫(NPO日住協理事長)
司会:川上湛永(NPO日住協会長)
参加費用:無料(登録が必要)
問い合わせ:事務局 ☎03-5256-1241
www.mansion-kanrikumiai.or.jp

(大規模修繕工事新聞No.58)


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