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コンサルタント紹介/山口実さん

02-2010-02-10管理組合は消費者ではなく、所有者意識を

—快適なマンション生活を迎えるには?
マンションにはスケールメリットがあり、非常に合理的なよい住宅ということができるでしょう。
しかし、建物内のインフラ整備が当たり前のように思っている人は少なくありません。蛇口から水が出るためには隠れた多くの設備が必要です。そして普通に水が出ることは建物や設備に不都合がないことです。「何もないこと」は「何もしないこと」では達成されません。「何もないこと」を保つためには、維持管理をする投資と努力がいるのです。
管理組合は消費者だという発想に反対です。市場から見れば消費者かもしれないが、まず所有者でしょう。自分たちの建物の管理については、自分たちで社会的責任を負う必要があります。
快適なマンション生活のためには、自分たちが共用部分の空間や設備等を大切にし、有効に効率的に活用することが必要なのです。
— そうした共用部分の管理には、コミュニティーが大切といわれている
かつてマンションは、鍵一本によるプライバシーの確保をキャッチコピーとして販売されていました。そんなところにコミュニティーを求めても無理ですよね。
他人への無関心は、個人主義とは異なる「孤人主義」といっていいでしょう。
しかし、人がそんな主義で暮らせるわけがありません。マンションに住めば共用部分があって、さらには地域があり、社会があり、地球環境へとつながっていく。戸建て住宅と違いマンションは共用部分があることで、生活を支えるコミュニティーがひとつ増えることになります。
「買いっぱなし」「私は関係ない」では通用しないのです。
—現在の大規模修繕工事のあり方をどう見ているか
この社会情勢の中、工事の費用ばかりに目がいくのは当然だと思います。このため目先のカネが先行し、大規模修繕と日常の維持管理がリンクしていないのが現状です。
施工計画によって管清掃や鉄部塗装、長尺シートメンテナンスのスパンを短くしたり、外壁塗料の選択によってより長く保護することもできます。
長期修繕計画は工事に取り組むサインでしかありません。工事の目的は何か、何のために工事をするのかが大切です。
住民の潜在的なニーズを拾い出し、暮らしやすさを求める生活価値の向上といった目標を管理組合が作るべきです。潜在的なニーズの拾い出しとは、なぜそこにさびが出たのだろう、なぜ配管から異臭がするのだろうといった原因を見つけることです。そのニーズを管理組合さえもが知らないところで見つけられるコンサルタントは最高ですね。
工事の目的が決まれば、建築上の制限、予算、住みながらの作業による問題点等を考慮しながら、優先順位をつけて合意形成を図っていけばよいのではないでしょうか。
●組織概要
本部所在地:東京都台東区台東1-6-6 古茂田ビル5F
☎03-5816-2818 FAX 03-5816-2819
E-Mail:yamaguchi@adoc.or.jp
URL://www.adoc.or.jp
本部(東京)・北海道支部(札幌)・東北支部(仙台)・中部支部(名古屋)・関西支部(大阪)・中国支部(岡山)・九州支部(福岡)・沖縄県支部
加入組合員32社(平成22年1月末日現在)
●主な業務内容
1. 建物改修ならびに維持保全に関する調査・診断・設計監理業務等の共同受注及び受注斡旋
2. 建物改修ならびに維持保全に関する報告書、計画書及び図面等の共同作成
3.共同宣伝及び市場開拓
4. 経営及び技術の改善向上又は知識の普及を図るための教育及び情報の提供
5.その他
(大規模修繕工事新聞 第02号)


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