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コンサルタント紹介/須山清記 さん

03-27コンサルは請負ではなく委託。様々な観点から選ぶこと

― 「目の利いた」建物調査と「不具合の原因を検証した」建物診断が重要
建物が経年により何らかの不具合を生じるのは致し方ありません。その不具合部を、行き届いた調査により発見し、その不具合が発生したメカニズムを確認した上で、同じ不具合が短期間に再び起こることがないように改修設計の仕様を作成することが修繕の要です。不具合の原因を確認しないままでありがちの仕様で修繕した場合は、修繕工事が終わった後の、比較的短期間のうちに故障が再発することがあります。
建物調査は、その後に行う大規模改修工事の範囲や仕様を決定する基になるものです。必要な項目を実施し、無駄な工事を行わないためにきめ細かい調査・診断を行うことが大切です。
そのためには、工事に利害関係のない立場で調査・診断を行うことが重要です。
建物の劣化要因として、注目すべきは以下の3点であると考えます。
1.紫外線による劣化や太陽の放射エネルギーによる伸縮
2.雨水による躯体内鉄筋の腐食
3. 地震等による建物の動きに非構造部材が追従できないことによるものです。

―業者選定では安値競争が横行している
施工会社の選定では、実際に工事を取り仕切る現場代理人とその支援体制が重要です。優秀な現場代理人(仕事の先を読んで工事の段取りができる、作業員に指示通りの作業をさせることができる、居住者対応が的確で早い)には、優秀な職長や作業員がついていることが多く、現場の良し悪しは代理人で決まると言っても過言ではありません。
適正な見積金額とは、必ずしも最も安い金額ではなく、設計仕様を確実に施工するためのバランスの良い内訳単価に基づくものです。
管理組合の人もご自分の仕事に重ねて考えてみればわかるのではないでしょうか。やりがいのある仕事だといい仕事につながるでしょう?
安値競争の結果で発注した工事はそれなりの工事になると思います。

―コンサルタントの選び方は
いいコンサルタントとは、管理組合にコンサルタント費用以上の得させなければという信念を持つコンサルタントです。
技術力、実績、新しい技術に挑戦している姿勢、工事中の職人への指導、マンション住民のコミュニティー形成…いろいろな視点から信頼できる人を選びましょう。
それまで住民同士であまりなかったあいさつ、会話が工事後に増えたという例はたくさんあります。
そうしたマンションは、よいコンサルタントに恵まれたといってもいいかもしれません。
行動力も必要です。デスクに座っている人では、追加工事などの金銭の管理はできません。自ら足場の上を歩く人は建物の傷み方を知っているし、傷む部分の探し方も上手です。
管理組合としては、疑問に思っていることをどんどん聞くこと。そうすればコンサルタントとの相性もわかります。改修コンサルの資格は1級建築士の必要もありません。
コンサルタント契約は請負ではなく、委託です。業者選定のような見積もり合わせではなく、いろいろな話をして仕事の信念から人柄から、さまざまな観点から選ぶことですね。

●組織概要
アワーブレーン環境設計株式会社
〒104-0041 東京都中央区1-3-2 新富町1丁目ビル4階
☎03-3297-0245㈹ FAX 03-3297-0246
E-Mail:e-mail@ourbrain.co.jp
URL: www.ourbrain.co.jp
●主な業務内容
( 1)大規模修繕工事(設備含む)に関するコンサルタント(2)中・長期修繕計画の作成(3)築後2年目点検業務(4)耐震診断、構造安全性診断、構造補修・補強設計(5)各種診断機器による調査(6)漏水診断(7)住宅の空気環境改善に関するコンサルタント
●社員数
正社員13人 委託社員5人
●過去3年間の業務実績
2009年 約3,000戸(8月現在)
2008年 約5,000戸
2007年 約6,000戸

(大規模修繕工事新聞 第03号)


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