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給排水設備改修

日本初の近代水道は1887年(明治20年)、英国人技師のH.S.パーマー氏の指導により横浜に導入されました。
当時のイギリスの水道技術は貯水槽を用いる方式だったため、日本の水道事業は貯水槽が必要な方式を長年用いてきたのでした。
貯水槽の歴史は「コンクリート製」「鉄板製」がしばらくは主流でした。集合住宅が普及してきた1960年代中ごろ、同時に一体型FRP製貯水層(工場で完成品とする)も徐々に普及しはじめました。
※FRP(繊維強化プラスチック):ガラス繊維などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料
1982年、財団法人日本建築センターが「給排水設備技術基準・同解説」を発行。衛生面等を考慮して貯水槽は6面点検ができる構造でなければならないことなどが義務つけられました。
ここから現場で組み立てるパネル型のFRP製貯水槽が急速に普及。FRP製パネルは軽量、安価、耐食、耐久、耐力等に優れ、現場への搬入および組み立てが簡易ということから現在は貯水槽の約9割でFRPパネル組立型水槽が使用されています。
1990年代に入って厚生省がフレッシュ水道計画を推進するようになり、集合住宅は貯水槽を用いない「直結給水」が主流に。貯水槽の姿が街から消えていっています。
<文/全国建物調査診断センター・給排水設備担当:渕上>

(大規模修繕工事新聞 101号)

鉄製型の貯水槽

コンクリート製の地下ピット式貯水槽

現在主流のパネル型FRP製貯水槽