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機械式駐車場の落とし穴!

 これまで駐車場にかかる経費について顧みなかった管理組合が10年目で懸案事項として立ち止まって考え、分譲か らかかった費用、これからかかる費用を試算した内容を紹介します。

(大規模修繕工事新聞107号)

◆マンションデータ
2005年竣工・2棟・90戸
3段昇降式(地上1階・地下2階)機械式駐車場装置30基(全 90台収容)
駐車場使用料(月額)
上段12,000円、中段10,000円、下段8,000円
年間の収入→  平均10,000円/台×12カ月×90台=1,080万円
※ただし現在、駐車場の専用会計はなく、使用料収入は管理 費(一般)会計に40%、積立金会計に60%を充当している。

◆メンテンス契約の形態
・〈現 行〉フルメンテナンス(FM)契約(現場点検は年4回)
月々の定額料金に交換部品代、修理費用を含んだ契約
年間の支出→   1基(3台分)60,000円/年×30基=180万円
・〈 参考例〉POG(パーツ・オイル・グリル)契約(現場点 検は年4回)
劣化した交換部品代、修理費用は含まない契約
年間の支出→1基(3台分)24,000円/年×30基=72万円

 〈表1〉では分譲時からの長期保全計画により、維持管理・ 修繕費用が1基3台でどのくらいかかるのかを試算していま す。30年間で合計1基につき、約476万円かかり、90台では 1億4,283万円かかることになる計算です。
 これをもとに〈表2〉で30年間の収支予想をしてみました。
収入は駐車場使用料が合計3億2,400万円で、ここからフル メンテンナンス契約、維持・修繕費、更新(建替え)費用の合 計(3億3,291万円)を差し引くと891万円の赤字となります。
 フルメンテンナンス契約からPOG契約に切り替えた場合、ケースによっては収支がトントンとなることも考えられます が、大きな問題があります。
 駐車場専門の会計システムがないため、使用料収入は管理費 会計と積立金会計に充当されています。建物や設備の長期修繕 計画に機械式駐車場の項目があれば積立金会計からまかなえま すが、なければ実際には3億2,400万円の収入額は0円という ことになるのです。
 積立金会計からの借り入れは必須となることでしょう。  メンテナンス費、維持管理費、更新費とその出処がどこにあ るのかを把握する必要があるでしょう。ヒントは必ず会計報告 の数字の中にあります。
<取材協力・㈱桐ケ谷工業所>

●問い合わせ先
一般社団法人 全国建物調査診断センター
「駐車場リノベーション機構」
TEL:03−6304−0278 FAX:03−6304−0279
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