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改正マンション管理適正化法施行 管理事務報告、重説等を電子化へ マンション管理業協会がガイドライン策定

 3月1日、改正マンション管理適正化法が施行されました。管理会社に義務付けられている書面(管理事務報告や重要事項説明書等)の交付などについて、管理組合の承諾を得た上でメールやホームページなどを活用した電磁的方法による提供が可能となりました。
 具体的な内容や解説は、国土交通省監修、一般社団法人マンション管理業協会策定のガイドラインが公表されています。ここでは、『適正化法第72条・第73条・第77条関連マンション管理委託契約における重要説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付に係るガイドライン』の中から、よくある質問(FAQ)の一部を紹介します。



■電磁的交付に関するFAQ
Q1 電磁的方法による交付を区分所有者等が希望した場合、承諾書は交付の都度(例:毎年)取得する必要がありますか?それとも、一度取得すれば足りますか。
A1 継続的に電磁的方法による交付を行う旨、承諾を得られれば、都度取得する必要はありません。
 相手方の承諾が得られれば、当該方法により、継続的に交付することについて、承諾書を取得することも考えられます。ただし、区分所有者より、当該方法に対して、中止の申し出があった場合については、その後、書面での対応をとることが必要となります。
 なお、管理者等の交代や区分所有者の変更等が生じた場合は、改めて、該当者に電磁的方法による交付等の実施可否を確認し、電磁的方法による交付を行う場合、承諾書を取得する必要があります。
Q2 区分所有者等に対し、電磁的方法による交付を行う場合は、各区分所有者一人ひとりより承諾書を取得する必要がありますか。それとも、総会決議等により、包括的に承諾を得ることも可能でしょうか 。
A2 区分所有者ごと、個別に承諾を得る必要があります。区分所有者毎のIT環境に依存することから、電磁的方法による交付を行う際は、事前に相手方のIT環境を確認し、承諾を得られた区分所有者に対し、当該方法による交付が可能となります。そのため、総会や理事会等における多数決議で包括的に承諾を得ることで、 区分所有者等全員からの承諾を得たことにはなりません。個々の承諾を得る必要があります。

Q3 区分所有者等に対し交付する電子書面を、ホームページに掲載する場合、 相手方に対し、「掲載した旨」の通知規定がありますが、その方法について、相手方の承諾が得られていれば、マンション掲示板や、ホームページの「お知らせ」等を利用することは可能でしょうか。
A3 各区分所有者へ通知する必要があり、掲示板を利用しての通知では、要件を満たしたことにはなりません。
 マンションの掲示板やホームページの「お知らせ」等の掲示板機能の活用は、あくまでも、区分所有者が能動的に情報を取得する方法であり、受動的に取得するものとは異なります。
 そのため、管理業者の責務として、個々に受動的に情報を受け取れる方法 電子メール等 で通知し、交付した旨知らせる必要があります。
Q4 技術的基準に、「相手方が出力することにより書面を作成できること」とありますが、 閲覧可能であれば、出力することによる書面作成は不要と思いますが、いかがでしょうか 。
A4 非改ざん性を確保する観点から、必要な要件となります。
 交付された重説書ファイル等が、その後改ざんされる等により、当初のものと異なることで、真正なものかわからなくなることを防止する必要があります。そのため、管理組合によっては、必ずしも電子データを長期的に保
存ができない等、当初のものを紙で出力することで、文書の見読性を担保したいと考える場合もあることから、「電磁的方法により記録された事項を出力することにより、書面を作成できるようにする」ことが必要となります。

 

(大規模修繕工事新聞 第136号)