月刊「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。コロナ過を契機に発行形態を紙媒体から全面的に電子版に移行いたしました。それにともない、これまで首都圏、関西圏のみの発行でしたが、ネット配信の強みを生かし、全国規模に拡大しました。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を右の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。今後とも、マンション管理組合さまのお悩みに寄り添い適切な情報をお届けしてまいります。

滞納者が自己破産 管理費回収はどうすればいい?(7)

Q 滞納者が自己破産 管理費回収はどうすればいい?

【相談】
 管理費や修繕積立金、専用庭使用料(管理費等)を6カ月分滞納していた組合員が自己破産の申し立てをしました。この住戸には住宅ローンの抵当権が設定されており、管理組合が配当を受ける見込みはありません。この場合、滞納管理費等の回収はどうしたらよいでしょうか。

相談者:理事長
マンション概要:築15年・30戸
管理会社に全面委託しているが、滞納者への督促業務は、電話・自宅訪問・督促状までの契約となっている。

破産者に法的措置は難しい 特定承継人に請求することに

【回答】
 滞納管理費等について、破産者である当該組合員に財産があり、その財産を換価して配当がなされる場合は回収できる可能性がありますが、配当がなされない場合は回収できないでしょう。
 破産管財人が当該マンションを換価するために売却した場合や競売にかけられた場合、マンションの買主(特定承継人)が現れますので、それ以降は当該買主に請求することになります。
【解説】
 自己破産とは、借金の返済ができなくなったとき(これを「支払不能」といいます)、裁判所に申し立てて免責許可をしてもらい、債務を免除してもらう手続きです。
 破産者に換価する財産がなく、破産手続きの費用もまかなえない場合は、破産手続開始決定と同時に破産手続きも終了します(これを同時廃止といいます)。破産者がマンションを所有していても、その評価額を超える抵当権が設定されている場合には、同時廃止になることがあります。
 この場合、破産者には財産がない訳ですから、現実的に滞納管理費を払ってもらうことはできないでしょう。そして、破産者に対し免責許可決定がなされた場合は、滞納管理費債務が免除されますので、これを請求することはできなくなります。
 破産者に換価する財産がある場合、裁判所から破産管財人が選任されます。この場合、管理組合としては、滞納管理費債権について管財人に債権届出書を提出し、配当がなされるのを待つことになります。管理費に対する債権は区分所有法により他の一般債権よりも優先的に弁済されることが規定されています。
 また、破産手続開始決定後に発生した管理費等については、破産法上、優先的に弁済を受けることが認められています。したがって、管理組合はその管理費等の支払時期ごとに破産管財
人に請求を行います。
 なお、区分所有法8条は、管理費等の債務について、当該物件の特定承継人も債務を負うことを定めていますので、破産管財人が換価のためにマンションを売却した場合や競売手続きで競落された場合、管理組合はマンションの買主や競落人(特定承継人)に対して、管理費等を請求できることになります。

(大規模修繕工事新聞 140号)

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