「大規模修繕工事新聞」創刊から現在に至るまで、全ての記事をアーカイブ収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を上の<記事検索>にキーワードを入れるだけで表示させて、必要な記事を読むことができます。

管理組合と税務⑤/5.事業税・事業所税 6.固定資産税

 管理組合に課せられる税務を、国税(①法人税、②所得税、③消費税)、地方税(④都道府県民税・市町村民税、⑤事業税・事業所税)に分けて解説するシリーズ5回目。今回は都事業税・事業所税、その他として固定資産税について掲載します。

5.事業税・事業所税
 収益事業を行う管理組合・管理組合法人は、その収益事業所得についてのみ、事業税・事業所税が課されます。国に納める税金が所得税なのに対して、法人事業税は所在地の都道府県で事業をしていることに対して納める税金をいいます。

 また、人事業税の申告義務のある法人を対象に、特別法人事業税がかかります。地方法人特別税の廃止に伴い、2019年10月より新たに適用されました。

 事業所税は、事業所税が課される都市で、一定規模以上の事業に対して課される税金です。事業所等の床面積を対象とする「資産割」、従業者の給与総額を対象とする「従業者割」があります。
 ただし、収益事業に使用する事業所等の床面積合計が1,000㎡超、従業者数合計が100人超など、規模が大きいことから、申告対象となる管理組合は限られています。

6.固定資産税
 収益事業を営む管理組合は、その事業の用に供する償却資産がある場合に固定資産税が課税されます。
 減価償却費を必要経費に算入している償却資産の内容(取得年月、取得価額、耐用年数等)について、1月1日現在所有しているものを申告します。

 ただし、課税評価額が150万円未満は免税となります。例えば、収益事業用に用いる機械式駐車場について、評価額が150万円以上であれば課税対象となるわけです。
 駐車場の収益事業について近年、サブリース、カーシェアリングといった手法により、事業者に賃貸することで収入を得る管理組合が増えています。
 マンションの敷地は「住宅用地」として固定資産税等の減免措置が設けられています。このため、敷地の一部を収益事業にあてると、当該部分について市町村が「非住宅用地」と判断し、各区分所有者の固定資産税等が増額される可能性が出てきます。
 ただ、「非住宅用地」が敷地の一部に過ぎないため、「増額は
軽微」として、「収益事業と対比して懸念するほどではない」する専門家もあります。

※ 令和5年度税制改正に「マンション長寿命化促進税制」が盛り込まれ、管理計画認定マンションにおいて長寿命化工事が実施された場合、翌年度に課される建物部分の固定資産税が減額されることになりました。区分所有者の負担を減らすことで必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事への合意形成を容易にすることが目的です。


大規模修繕工事新聞 163号