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気をつけたい管理者管理

気をつけたい管理者管理
外部管理者方式=管業者管理者方式=第三者管理者=管理者管理

NPO法人日本住宅管理組合協議会/集合住宅管理新聞『アメニティ』2024年7月5日付第502号「論談」より

 

 「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が国交省によって制定された。
 管理会社が管理者に就く現状を踏まえ、区分所有者以外の者が管理者に就く方式を「外部管理者方式」とし、管理会社が管理者に就く場合を「管理業者管理者方式」と定義した。
 それら管理者管理であっても、マンション管理の主体は区分所有者から構成される管理組合であることを前提に、区分所有者がその責務を果たすべきことを確認するとともに、外部管理者方式等における留意事項をガイドラインで整理をしたとしているが、気になるのは、「望ましい」の文言が多く、YesかNoかを不明確にスッキリしない。
 一方、管理者を目指す者から見るとハードルは低くなったようにみえる。


◆プレイシャー増える
 外部専門家として、どのような組織などが参入するのだろうか。
 今までの状況から見れば管理会社がさらに増えるだろうし、マンション管理士も加わり、弁護士もあり得る。
 最近、ある自治体から委託を受けたという金融系企業から、第三者管理者に関する件で連絡があった。
 直後にわかったのは、その企業は第三者管理者として手を挙げていたことである。
 そのような企業までも、と周囲は驚いたということは儲かる市場との認識での参入であることが読み取れる。
 その直後、新聞やTVは、当該金融グループの三菱UFJ銀行と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券の3社が金融商品取引法に反し、顧客企業が禁止していたにも関わらず、株式の売り出しに関する非公開情報を互いに共有するなどしていたことを報じた。
 金融庁は業務改善命令などの行政処分を検討している。
◆管理組合はよく考えよう
 「わが国を代表する金融グループで顧客情報の不適切な授受などが行われてきたことは大変遺憾」と鈴木俊一金融相は6月18日の閣議後記者会見で述べ、「法令に基づいて厳正に対処していきたい」と語った。
 国内トップ企業グループによる不適切行為を見ると、その一員である企業が、管理者になることに疑問と懸念が湧き上がる。
 管理組合を単におカネとしか見ていないのではないか、と不安を感じる。
 ガイドラインはそれを食い止められないし、むしろ参入促進につながると危惧する。
 管理者は真に管理組合の利益を考え、質の高さを競うことが「望ましい」。
 管理組合は、監査・監督をしっかりと行い、財産などの毀損を防止しなければならない。 (NPO日住協論説委員会)


大規模修繕工事新聞1746月号(24-8)