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「隠されている『工事失敗』の現実」パート3

1508-68-10-1 4月26日㈰、東京・京橋の㈱住宅あんしん保証本社会議室で全国建物調査診断センターと建物修繕技術協会が主催し、毎回好評を博している管理組合役員勉強会を行いました。その1部として、㈱リノシスコーポレーション(1級建築士事務所)佐藤成幸専務取締役が講師を務めた「隠されている『工事失敗』の現実」紙上採録の3回目です。

事例紹介⑥ 施工者選定の失敗3 物件概要:SRC 地上10 階、地下1階建て・161 戸

◇経過
見積もりを地元業者から優先的に取得したいという意向が管理組合からあった。しかし、設計コンサルタントは、今回の工事内容は工務店レベルの地元業者では難しいと考え、改修工事専門会社の見積もり取得を助言した。
見積もり取得後、ヒアリングを実施するよう、理事会に助言したが管理組合は聞き入れず、結局地元業者を採用することになってしまった。
工事がはじまると、居住者対応がまったく後手に終始し、現場代理人は慣れない居住者対応に追われて、肝心の施工品質や工程といった管理に時間を充当できず、散々な出来栄え工事になった。
◇失敗の分岐点
設計コンサルタントが管理組合推薦の地元業者の事前実績を調べていたところ、共同住宅改修工事について、経験ゼロということを把握し、それゆえに採用を見送るように助言したのだったが、管理組合から聞き入れてもらえなかった。
決定の際には地元だから小回りが利く、緊急時の対応が早いなどという期待があったが、そもそも居住者のニーズを把握していない会社であるため、小回り以前に根本的な工法ができない状態であった。
緊急時の対応は担当者個人の携帯電話だったが、台風等ではあちこちから電話が入り、結局通話ができなかった。地元だから小回りが利くなどというのは、ケースバイケースで錯覚となるという認識を持つべきといえる。
◇後日談として
工事中、居住者との専有部分をめぐるトラブルが発生。採用された地元業者は工事後も相当な期間にわたり、その対応に追われていた。トラブルの内容は個人財産の破損で、設計コンサルタントに「どうしたらよいですか」と頻繁に救いを求めていたという。

事例紹介⑦ 施工者選定の失敗4
物件概要:RC 造、地上14 階建て・132 戸

◇経過
修繕委員長が独断専行、専横主義的人物であるパターンのひとつ。
この事例では施工業者選定前に、突如設計コンサルタントを解約し、委員長が強硬に推薦する施工業者を選定。同時に委員長推薦の工事監理者(と称する)を採用した。
結果として、工事終了後、管理組合が施工業者と契約している竣工後のアフター点検、手直しについてまったく対応せず、工事監理者もまったく取り合ってくれない状態が続いた。
工事監理者は建築士事務所でもなく、建築士も存在しなかった。
さらに、委員長は工事完了後に引っ越していた。
◇失敗の分岐点
解約された設計コンサルタントは、委員長と採用された施工業者の関係性を把握していたため、その旨、意見を具申していたが、修繕委員会メンバー等も委員長を恐れて公にされずにいた。
委員会の行動に理事会は全面追認しかしていなかったので、コンサルタントがいない時点で何らかのチェック機能が働いていなかった。
工事監理者については資格要件を確認していなかった。
◇後日談として
管理組合では施工会社の対処について、解約したにもかかわらず、その設計コンサルタントに救いを求めた。
曰く、「引っ越ししていった委員長の行為など、施工業者との関係性がスキャンダラスなため、改めて他社に経緯説明することは避けたかった」。
その後、設計コンサルタントは弁護士を入れたプロジェクトチームを作るスキームを提案。法的措置に則り、施工業者を相手に調停を申し立てた。
施工業者は調停の場でも勝手な持論を展開するなど、終始開き直りの態度をとったが、それでも点検行為だけは実施させるところまでこぎつけた(平成23年での1年点検が平成26年の実施となった)。
管理組合はこれ以上の論争より、アフター保証はいらないからこの施工業者との縁を切りたいと嘆いている。
(大規模修繕工事新聞 第68号)


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