ライフサイクルコストを考慮し
シリコン含有率の高い塗料を使用
今回の工事の大きなポイントは塗料選定にある。塗料業界に勤める管理組合役員がいたことが大きく、材質の知識、ライフサイクルコストによるメリットを生かした。
塗料の質で、今回注目されたのがシリコンの含有率。 一般住民にはわかりにくいが、塗料(ペンキ)の成分にシリコンが含まれる率が高いと、熱、水、紫外線に強い高耐候性の塗料となる。
ところが実際には一般のシリコン系樹脂塗料とはいえ、おおむね2〜5%のシリコン含有率しかないものが多い。
そこで、業界現役社員の役員が提案したのが、シリコン含有率38%の製品「ハイブリッドシリコンV」。この製品の導入で耐用年数を10年から20年以上に延ばすことができる。
修繕周期を延ばすことによって、建物のライフサイクルコストを低減させることにつながるのだ。
管理組合へのアプローチに
瑕疵担保保険の加入を明示
施工を担当した未来建設では現在、管理組合に対して大規模修繕工事における瑕疵担保保険の加入を明示し、アプローチを行っている。
管理組合側のメリットとしては、工事を発注した業者や設計事務所とは別の第三者(保険会社)の現場検査が入ることが大きい。
また、同社が倒産した場合などのアフターサービスも保険でまかなうことができる。同業他社の連帯保証は談合の温床になる可能性が大きく、保険利用が公正な業者選定を行う一因になるといえそうだ。
ハイブリッドシリコンVの特徴
(シリコン系樹脂を38%含有、一般のシリコン系樹脂塗料はおおむね2〜5%)
・ 2液水性超耐候型特殊セラミック変成シリコン樹脂塗料
・無機と有機の成分配合により弾力性が増加
・耐候性は20年以上
・環境対応… ホルムアルデヒドの放散量が0.12kg/㎡以下
・耐汚染性… 無機の塗膜の特徴である硬さ、緻密性により優れた耐汚染性を発揮
・不燃性… 主成分が無機を使用しているため不燃性に優れている
・ライフサイクルコスト…(下図)
(大規模修繕工事新聞 第12号)