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管理組合合意形成の真実と研究

74-19全国建物調査診断センターは11月29日、大阪・今橋の関西ペイント㈱本社会議室で「管理組合合意形成の真実と研究」をテーマに大規模修繕工事本音セミナーを行いました。
大規模修繕工事の計画を立てる際、理事会や修繕委員会で集約した情報等を正しく住民に伝え、合意形成をする必要があります。
そこで、こうした住民の合意形成の支援をしてきた㈱T.D.S(1級建築士事務所)泉谷勝久・取締役大阪支店長が講師を務めた「管理組合合意形成の真実と研究」の一部を掲載します。

㈱T.D.S(1級建築士事務所)
泉谷勝久・取締役大阪支店長

大規模修繕工事の計画において、管理組合の合意形成でポイントとなるのが、理事会や修繕委員会と区分所有者(住民)での認識・意見の違いです。

11月29日、会場となった 関西ペイント本社会議室
11月29日、会場となった
関西ペイント本社会議室

マンションを維持していく上で必要な費用として積み立てられている修繕積立金ですが、実際にどういった時に使うのか、なぜ必要なのかという核心部分はあまり住民の方々の間で認識されていないのが現状です。
住民の理解を得ないまま計画を進めると、計画過程で大きな反発を受ける場合があります。
そこで合意形成を図るポイントを4つあげました。
①目的を明確にする
・計画修繕の意味や必要性を認識してもらう
②おカネを明確にする
・必要な支出と現在の収入状況を認識してもらう
③透明性を確保する
・情報を開示し、計画決定の経緯を認識してもらう
④生活への影響を明確にする
・工事期間中の居住環境への影響を認識してもらう
この4項目を計画の各段階で明確化することで、住民の認識も高まり、余計なストレスを軽減することができます。
また、予期せぬ反発は認識不足から来る不安感が最大の要因ですので、住民のみなさんに正しい認識を持ってもらうことが合意形成の近道といえるでしょう。

◆トラブル事例1:積立金に関する認識不足

工事計画による工事費の概算見積もりに対して、修繕積立金が不足している状況が判明した。その際、一部住民から「工事なんてしなくていい!!」という意見が出た。
要因①: 大規模修繕工事の経験がなく、計画修繕の理解が希薄だった
要因②: 修繕積立金の根拠が明確でなく、値上げが必要な状況を放置していて、住民は寝耳に水だった。
経 過: 現状の修繕積立金でいくと、今回の工事は実施できて
も次回以降の工事が実施できず、積立金会計が破たんする状況でした。
工事計画を進める中で、積立金残高も含めて説明したところ、一部住民から反発が起こり、工事はしなくてもいいという意見
も出ました。
一旦、工事計画を中断し、長期修繕計画のシミュレーションを作成した上で、今後のマンションの維持について、集会を開
くことにしました。

◆トラブル事例2:バルコニーの私物放置

工事中に非協力的な住民があり、「うちのバルコニーは工事しなくてもいい!!」という妨害があった。
要因①: これまでにも大規模修繕工事はあったが、バルコニーに物が置きっぱなしで、この部位は実施しなかった
要因②: バルコニーは共用部分という認識がなく、「自分の家に物を置いて何が悪い!」という認識だった
経 過: 築年数の古いマンションでは、居住者も高齢になっている場合があります。前回・前々回の工事で、本来の意味合いを認識しないまま、悪い前例を作ってしまうと、認識を変えるのはなかなか大変です。
バルコニーは共用部分であり、避難経路でもあるため、物を置いてはいけないという理事会・修繕委員会からの勧告も聞き入れられなかったため、管理組合が団結し、なかば強制的に私物の移動を行いました。

○まとめ

合意形成を図る上で大事なことは、住民との対話をしていくことだと思います。
マンションという共同体の居住スペースで維持していく上で、住民とさまざまな場面で協力してもらうことは必要不可欠な事項なのです。
大規模修繕工事等のタイミングで、マンションのあり方について認識を深め、マンションを維持していく上で必要な要素をみんなで協議するのが理想だといえるでしょう。

(大規模修繕工事新聞 第74号)2016-02


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