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3/4日本マンション学会関東支部通常総会

関東支部の会場は中央大学市ヶ谷キャンパス

 

お知らせ
日本マンション学会全国大会
第26回名古屋大会開催
期 間:2017年4月22日(土)、23日(日)
開催地:椙山(すぎやま)女学園大学・星が丘キャンパス
22日
メインシンポジウム
テーマ:「マンションにおいて認知症とどう付き合うか」
第1分科会:マンション再生活用に関わる取り組み
第2分科会:最近のマンションの紛争と裁判
第3分科会:マンションにおける人の高齢化による問題と対処法と課題
23日
第4分科会:マンションにおける人の高齢化による問題と対処法と課題
第5分科会:(仮)マンション再生施策と行政のかかわりについて -中間報告-
第6分科会:借地権付きマンションの現状と課題
第7分科会:一般報告、実務・管理報告

日本マンション学会関東支部(三井一征支部長)は3月4日、中央大学市ヶ谷キャンパスで関東支部第6回通常総会を開きました。総会後には松本恭治・元高崎健康福祉大学教授による講演『空き家問題の構造―前門の虎(少子化)と後門の狼(高齢単身化)―』と質疑を行いました。その一部を掲載いたします。<構成:編集部>

マンション住民の高齢化が進み、高齢者に優しいマンションや団地では若い人が住みにくくなっています。
昔は、親の家から飛び出して、借家から出発し、それから分譲マンションを買って、マンションから戸建てへというのをステップアップと言っていたんです。
ところが現在は、この「住宅すごろく」の「上がり」まで全員が到達できないんです。
分譲マンションは、大勢の人が高齢者になると、みんなで通れば怖くないと、修繕積立金5000円上げようという案がだいたい1000円止まりでね。修繕業者には貯まった範囲以内で修繕してくれと。だから適正修繕じゃなくて、その金額の許す範囲の修繕となります。
住宅にABCランクがあるとすると、新築の特A住宅の供給性は間違いがないんです。そうすると最後にCランクの住宅が余る。Cが余っていらなくなるんですが、そういうのをフィルタレーションといいます。
要するに低価格化とか、単身化とかですね。はっきり言って低水準化ですね。この低水準化がいつまでも使えるというのは日本だけのことです。日本には居住の基準がありません。イギリス、フランス、スエーデンでは、「住宅基準」があります。汚い住宅には勧告し、直せなかったら居住不適です。基準に合わない住宅には閉鎖命令ができるのです。
昭和44年分譲の大型団地はかつて、こんなに面白い団地があるものかというほどのコミュニティ活動が盛んな団地でした。それから20年経過して、全戸48㎡、エレベーターなし、老人部落化し、総会では罵声が飛び交い、経済的に余裕がある人の多くが団地を脱出。以前のにぎわいに比べると「喪に服す」団地のようになった。
前門の虎は少子化。人口減少はフィルタレーションを加速します。単身化、低所得化した居住者が増え、さらに売れない、借り手がいないことから、空き家化が進みます。
後門の狼は高齢化。配偶者の死亡や単身高齢者自身の健康状態の都合で、空き家化が訪れます。区分所有建物であるマンションは個別に壊せないから、売れない、借り手がないのは前門の虎と同様です。
少子化、高齢単身化など社会構造の変化がもたらす問題に管理組合は無抵抗化しやすい。高齢者が隣人たちと良好な関係を築くことは重要だが、最低限の居住条件が保障されていることが前提といえるでしょう。

(大規模修繕工事新聞 第88号)

松本恭治・元高崎健康福祉大学教授