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この人に訊く/水白建築設計室 水白 靖之 一級建築士

 近年、中古でレトロ感がある雰囲気のマンションを「ビンテージマンション」と呼ぶそうです。さらに新築マンションの着工件数が激減し、「マンション購入は新築より中古のビンテージマンションを狙え!」などと銘打つ雑誌のタイトルも目につくようになりました。そこで50棟に1棟が「ランドマーク(文化財)」に指定されている歴史の街ニューヨークに約4年滞在した、一級建築士の水白靖之さんに日本でもビンテージマンションが根付くのか聞いてみました。


ニューヨークに行ったのは?
大学院で歴史的建造物の保存について勉強しにいきました。
そもそも日本の大学卒業後に入社した一級建築士事務所でマンションの改修工事の調査・設計監理業務に携わり、独立後もマンションの大規模修繕工事等を手がけていました。
修士課程を修了し、インターン(主に改修工事の現場監理を担当)を経て、帰国後に業務を再開したのです。
ニューヨークの建物の印象は?
ニューヨーク市内に建つすべての建物のうち、約2%が「ランドマーク(文化財)」に指定されています。実に50棟に1棟が文化財という割合です。
今でもセントラルパーク周辺には、築100年くらいの「高級マンション」が多く建ち並び、歴史の色が濃く残る街という印象があります。ジョン・レノンが凶弾に倒れたダコタ・ハウスもそのひとつで、築130年を超える文化財です。
ニューヨークと日本の違いは?
ダコタ・ハウスをはじめ、ニューヨークの高級マンションは天然石材が使われています。地震の心配がないこともあり、現在の新築でも石やレンガ造りが多く、日本のような鉄筋コンクリート造りは多くありません。
外装材でタイルが用いられることもありません。高価な天然石の代用品が安価なレンガ造りで、日本ではそれを真似したタイル貼りの外壁が普及しています。「本場」の感覚との違いは否めません。
日本でもビンテージマンションが根付きますか?
石やレンガで造られた建物よりコンクリートでできた現代建築のほうが、その保存が難しいと言われています。
ニューヨークにもRC造りがないわけではありません。その補修風景もみられます。
しかし、普及率では日本の比ではありません。日本のマンションの修繕技術は、欧米における現代建築の修繕の先駆けになるのでは?と考えることもできるのではないでしょうか。
築50年を超えたRC造りの修繕技術が進化すれば、日本的なビンテージマンションの概念が定着するかもしれません。

(大規模修繕工事新聞89号)

2016年、東側外壁改修工事中のダコタ・ハウス(1884年竣工、8階建て93戸)
 
コンクリートの補修をしているスターレット・リーハイビル(1931年竣工、倉庫・貸事務所ビル)