「大規模修繕工事新聞」は、一般社団法人 全国建物調査診断センターが発行するマンションの適正な管理に役立つ管理組合向けのフリーペーパーです。首都圏、関西圏の約30,000の管理組合に直接、無料で発送しています。また、同じ内容のメルマガ版は登録いただいた方に無料配信しています。当HPでは、「大規模修繕工事新聞」の過去から現在に至るまで、全ての記事を収録していますから、マンションの大規模修繕工事に関する情報やマンション管理組合に関する情報を左下の検索窓からキーワードを入れるだけで必要な情報を得ることができます。

 File Data. 107  横浜市/モアクレスト上星川管理組合 大規模修繕工事

管理組合が工事会社、工法、材料を選定 大切なのは発注者としての自覚

 まず、今回工事の大きな特徴は、工事作業ためにつく る仮設の作業床や通路である足場を設置しない工事とし たことである。建物診断の調査結果からも「この程度の 浮きの枚数ならば、総足場ではなく、ブランコやゴンド ラでの補修も可能であり、経済的とも言える」という報 告書を受けた。  これを受けて管理組合が発注したのが㈱エーファイブ。 ロープ・ブランコ工事を手がける数少ない工事会社であ る。

 「ロープ工法を売りにしているとはいえ、足場を組んだ ほうがいい個所、ロープのほうがいい個所など、状況に応じた提案をさせていただいています」と㈱エーファイ ブの木村康三社長。  しかし、今回ロープ工法の採用によって仮設足場の費 用約1,300万円が250万円に削減できることになった。こ うした経費削減は外壁の保護塗装材のグレードアップな どを採用することにつなげた。
 そもそも管理組合の知 識・意識レベルは高い。修 繕委員会を中心にあらゆる 情報を集め、自分たちで判 断できる体制ができている のだ。  例えば、大規模修繕工事 予算のための建物診断は「もったいない」という。目視で診断したタイル欠陥数と 実損数はおよそ5%と見積もればよく、コンサルタント 会社に聞いても10%以上違う結果になることはない。そ の他修繕個所も目視でよく、住民アンケートの情報収集 が貴重で、それで十分という考えだ。  結果、今回は設計・監理者ははぶき、管理組合が工事 会社、工法、材料を選んだ。工事会社にしても、ロープ 工法での外壁担当と、その他防水などの担当会社を分け て2社と契約するなど住み分けも行っている。  タイル補修は、SMC工法(ステンレスピンニング工法) を採用。特殊なエポキシ樹脂の注入ドリルを用い、余分 なエアー溜りを発生させることなく、穿孔→樹脂の注入→ピン挿入の3工程、騒音も極めて小さい。  アルミのサビ対策も、管理組合がアルミ・スチール・ ステンレスの補修会社・工法を探し出して採用した。  こうした工事ができるもの中心となるリーダーがいれ ばこそ。修繕委員長の川端志行氏は「工事がよくなるか は現場代理人が一番重要だけれど、職人がどれだけ気持 ちを入れて作業をしてくれるかも大事。工事前に住民と 職人で交流会をやって志気を高めてもらいました。職人 がやってくれればコンサルの工事監理や検査なんて不 要」。  管理組合からの配慮がどれだけ工事の品質をあげるか ―大切なのは、やはり発注者としての自覚である。

工事データ

○工事名/第2モアクレスト上星川大規模修繕工事
○建物概要/ 1989(平成元)年12月竣工・RC造・ 7階建て・78戸
○発注者/モアクレスト上星川管 理組合
○施工者/㈱長谷工リフォーム(外壁以外 の屋上や鉄部、内装他)・㈱エーファイブ(ロープ による工事…外壁タイル他)
○主な工事内容/外 壁補修/シーリング/鉄部塗装/バルコニー防水/ 屋上防水/エントランス屋根防水/その他建築雑工 事
○工事金額/約7,000万円 ○工期/平成25年 9月~平成25年3月

ロープ・ブランコ工事のメリット

1. 低コスト…仮設床、はしご等が不要なため、工 事費用のカットができる

2. 迅速対応…高所の小工事に迅速な対応がとれる

3. 防犯…枠組み足場でありがちな不審者の侵入な どの心配がない

4. 圧迫感の解消…枠組み足場と異なり、工期中の 圧迫感等の負担が解消される

5. 作業条件の解消…隣の建物との間隔が狭く仮設 足場を組み立てるのが難しい個所などでの工事 が可能である