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管理組合都合の損得勘定で、結果「損」取る

管理組合都合の損得勘定で、結果「損」取る

―ある施工会社営業マンからの投稿話―
 

「損して得取れ」という 言葉がある。初めは損を していても、後の大きな 利益につながるようにし なさいというような意味 である。
 逆にとれば、得ばかりを 考えていると後に損します よ、と言うこともできる。
 これは、ある施工会社営業マンからの投稿話である。  某マンションの見積もり合わせで、施工会社3社の1 社に残った。この物件、とにかく取りに行こうという社 内方針のもと、できる限り平身低頭、管理組合の言うこ とを聞いた。
 ヒアリング時に再提出した見積もりで200万円下げて、 ヒアリング中の口頭で100万円減。さらに「除外しよう と思う工事項目があるから、もう50万円値引いて欲しい。 そうしたら理事長の権限で、最終ヒアリング業者に残そ う」と言われたので、それも了承した。
 ところが、それから1カ月経ってもなかなか内定がも らえない。正直いつまで引っ張られるんだろうとウンザ リしていたが、ニンジンぶら下げられているから飲まな いわけにはいかない。管理組合の言葉を待つまま、時間 が過ぎ、そのうち、担当する予定でいた現場代理人が出 席していた別の物件で内定が出た。  仕方がなく、理事長に相談して、辞退したい旨を告げ ると、理事会、修繕委員会、設計コンサルを交えた話し 合いに呼ばれた。
 まずは経過を説明。現場代理人が残っていないことを 理由に辞退を報告した。
 すると、「とんでもない会社だ」「二股掛けていたのか」 「勝手すぎる」と非難の声が飛び交った。
 なぜ?内定を受けていたわけでもないのに。しかも、わ ざわざ辞退を申し出た席。礼節も尽くしているつもりだ。
 「最終選考結果がでるまで現場代理人を空けて待つのが 普通だろう」「なぜ二股をかけていることを告げない。常 識を疑う」「現場代理人は他の営業所から呼べばいいだろ う」「迷惑掛けているのはそっちだから、何とかしろ」
 こうした怒りの声が延々とループし、こちらはどうに もならないので謝罪して一応終了。
 後に聞いたところによると、他の2社より1,000万円安 く入札しており、実はほぼ当社に決まっていたとのこと だった。一番札が辞退するんだから、ああも理事会が怒っ た(慌てた?)のだろう。  ところが当社はそんな事情知らないわけだから、責め られるのは理事会、もしくは設計コンサルであって、こ ちらじゃない。
 自分たちの都合で損得勘定していたら、結果、工事費 が1,000万円高い2番札の会社に決まったのだった。
 管理組合が発注者だからといって、すべて上から目線 で話を進められるものではない。相見積もりも施工会社 にとっては大事な仕事。管理組合の「数合わせ」ではない。 お互いの「立場」を尊重してもらいたいものだ。
 結果的に「損」を取った管理組合、辞退した当社に投 げかけた言葉「常識を疑う」は、「そのまま管理組合にお 返ししたいよ」とさえ思えてくる。

(大規模修繕工事新聞93号)


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